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ー平和ー43

 このままでは話が平行線のままだ。  逆に、この場に朔望を呼ばなければ良かったとさえ思うが、今更遅いだろう。  雄介と望はほぼ同時に溜め息を吐いた。 「お前さぁ、一方的に望のことが好きって言ってるけど……望本人の気持ちとか聞いたことあんのか? つーか、雄介にそんなこと言っても仕方ねぇだろ? 例え、雄介が望を朔望に渡すって言ったとしても、望本人が承諾しない限り、付き合うとかいう問題にはならないだろうが……普通に考えて、まずはそこからだろ? ってなわけで、望は朔望と付き合う気あんのか?」  いきなり和也に振られた望は恥ずかしがる素振りも見せず、淡々と話し始める。 「悪いけど……俺が好きなのは、雄介だけだ。だから、雄介以外の奴とはもう付き合うことはない。だから朔望と付き合う気はねぇよ。諦めてくれねぇかな?」 「じゃあ、兄さんは雄介さんのどこが好きなの? 僕は兄さんが僕のことを好きになるように、雄介さんみたくなるからさ……それならいい?」 「いや……多分、お前が変わったとしても、俺は雄介以外に振り向くってことはねぇよ。今まで、色んな試練とか困難なことがあったけど、雄介とだと、その困難や試練を越えられることができて、俺は雄介に幸せを教えてもらったりしてきたからな。だから、これから先にも色んなことがあるかもしれねぇが、雄介とだと乗り越えられるような気がする。俺からは、雄介に別れるってことは言わないと思う。それくらい、今は雄介のことが好きだからさ……」 「やっぱり、雄兄さんって凄いんだねぇ。兄さんのことをここまで変えてしまうってさ……ホント、雄兄さんと兄さんが羨ましいよ。しかも、兄さん知ってるー? 雄兄さんは学校で凄い有名なの……文武両道って言うの? 成績はトップだって噂だし、見た目もかっこいいし、前まではレスキュー隊員だったんだから、運動神経も良さそうで、運動もできるだろうしねぇ。だから、本当、そういう所では女子がうるさいくらいなんだからねぇ。でも、僕からしてみたら、女子の皆様、残念……雄兄さんは男好きなんですよー。って僕はいつも思ってるよ」  望は雄介のことを見上げると、小さな溜め息を吐き、 「やっぱり、そうだったんだな。俺も雄介は頭いいって知っていたけど、成績はトップだとー? だって、雄介の奴、頭がいいことを認めねぇんだぜ……。昨日、学校のことを聞いたんだけどなぁ」  テーブルに両肘をつき、更に溜め息を吐く望。

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