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ー平和ー44

「学校の勉強はギリギリついていけるー、とか言ってたし、今は予習してるとか言ってたんだからなぁ。せめて、成績はトップだってことは雄介の口から聞きたかったかも……」  そう言いながら望は口を尖らせている。だって、そうであろう。雄介の口からその話を聞ければよかったが、その事については歩夢から聞いたのだから。  そんな望に、雄介は慌てたように言う。 「あ! だから、そ、それはやなぁ!? 頭がいいとかって、自分から口にすることやないと思うし、それに、今まで望と話す時間があまりなかったやんか。せやから、言えんかったっていうんか……」 「ま、確かに……お前と話す暇さえ今までなかったけどさ。本当、お前みたいな奴に俺はもったいない気がするわぁ」 「何言うてんねん! 俺が望んこと好きになったんから、望がもったいないって言うことはないやろー」 「それに、性格もいいし、料理はできるし! 家事もできるし! そんだけパーフェクトな人、世の中にあんまりいないぜ!」 「確かにな……ホント、雄介が羨ましい位だよなぁ。後は身長もあるし、完全な女性の理想のタイプなんだよな」  和也は半分にやけながら告げる。 「ホンマにそないなことないって!」 「そう言うけどよ……雄兄さんは学校じゃ超有名だよ。クラスにいる女子なんか、毎日のように雄兄さんのこと『カッコいい』とか『頭がいい』とか言ってる位だからね。『付き合ってみたい』って話もちらほら聞いてるよ。でも、雄兄さんの欠点って言うのかな? 男が好きってとこかな? 流石にクラスの女子の前でそんなことは言えないけどね」  その歩夢の話に、望は雄介のことを睨み上げる。 「やっぱり、お前ってモテんじゃねぇか……前にモテねぇとか言ってたくせによー。密かにバレンタインの日にチョコとか貰ってたんじゃねぇの?」  その望の言葉に、雄介は首を振りながら慌てて否定する。 「そ、そんなことないって! バレンタインデーにチョコなんて女の子から貰ったことなんかないんやで! それはホンマやからなぁ」 「そうなんだな。俺の方は普通に貰うけどなぁ」  その和也の言葉に反応したのは裕実である。 「和也? それは本当ですか? 僕がいながら、他の人からチョコを貰うなんて……もう、今度からは和也にチョコはあげませんからね!」  裕実はそこまで言うと、和也から視線を逸らし、反対側へと顔を向けてしまう。

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