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ー平和ー45
和也はいけないことを口走ってしまったことに気付いたのかもしれない。一瞬、裕実の言葉に目と口をポカリと開けていた。だが、すぐにいつもの表情に戻ると、臍を曲げてしまった裕実の体を後ろから抱きしめる。
「いや、マジでゴメンって! もう、これからは貰わないしー。機嫌直してくれよー」
「やっぱり、和也は僕なんかより、女性の方がいいんですよねぇ」
「違うってー! 本当に今は裕実だけが俺の本命なんだからよー。本当、ゴメンって!」
両手を合わせて裕実に頭を下げる和也。
そんな和也に裕実は一つ息を吐き、
「本当、和也は正直なんですね。そんな和也が僕は好きですけど……」
と、微笑みを浮かべた。
裕実は実際のところ、チョコの件で本気で怒っていたわけではない。ただ少しばかり嫉妬していただけなのだ。だから、必死に謝る和也の姿を見て安心したのだろう。
「あ! そうだ!」
和也は突然思い付いたように朔望たちの方を向き、にやけた顔をしながら言う。
「ならさ、朔望と歩夢が付き合ってみたらどうだ? 朔望も歩夢も望のことが好きなら、お互い好きになれるんじゃねぇの? 二人とも兄弟なんだしよ」
その提案に、朔望と歩夢は視線を合わせ、
「僕たちがぁ!?」
と、声を揃えて言う。
「朔望なんか特に望に似てんだから、いいんじゃねぇの? それに、お互いに男が好きなんだし……。歩夢は普段は攻め側かもしれないけど、前に『雄介相手なら受け側でもいい』って言ってたことあるしな」
「んー……和也に言われて初めて気付いたけど、確かに僕は朔望兄さんでもいいかもしれないなぁ。でも、受け側ってのがね。確かに雄兄さんなら受け側でもいいって言ったけどさ……やっぱ、男なら挿れる方がいいよねぇ」
「ふーん……確かに和也の言う通り、歩夢ってのもありなのかもしれないなぁ。逆に今までずっと僕たちは一緒だったから気付かなかったのかもね。でもね、僕の方も攻め側は譲れないよ。それに、兄が弟に負けるなんてあり得ないからさ」
「僕だって嫌だよ! 痛いの嫌だしー。第一、朔望兄さんに組み敷かれるなんて納得いかないんだから!」
くだらない兄弟喧嘩に、望たちは深いため息を漏らすのだった。
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