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ー平和ー100
望はその朔望の言葉に目を丸くする。
「そんな顔をするってことは、兄さんは気付いてないって訳だ。 確かに親には愛されたって思いはなかったのかもしれないけど。 周りからは兄さんは愛されるタイプなんだと思うよ。 なんかね……兄さんの場合、守ってあげたくなるタイプって言うのかな? でも、兄さんはそう思ってはいないんだと思うんだけどね。 僕は守ってあげたいイコール愛しいと思ってしまうんだけど……」
その朔望の言葉に和也は顔を上げ、
「あ、それ、分かるような気がするわぁ。 望もだけど……俺の場合には裕実がそうだからなぁ」
と和也も朔望の言葉に同意する。
「兄さんの場合、見た目もだけど……精神的にも守ってあげたくなるっていうのかな? じゃあ、兄さんは雄介さんのことを守ってあげたいって思う?」
その朔望の質問に望は首を傾げ、
「いや……特にないな?」
「でしょ。 だから、兄さんは愛されるタイプなんだよ。 まぁ、要は受け身側のタイプって言うの? そうだなぁ、例えば、兄さんに女性の彼女ができたとしたら、守ってあげたくて、すごく愛しく感じない?」
「ああ、まぁ……多分な。 でも、大学の時にできた彼女には一切、そんなこと思ったこともなかったけどな」
「じゃあ、その彼女には愛しいって気持ちにはならなかったんだ」
「そう言われてみればそうかもしれねぇな。 ただ、彼女ってのは、めんどくさいなぁーって思ってただけだし……」
「じゃあさぁ、そんなにめんどくさいと思いながらもどんな付き合いとかしてたのー?」
始めは真面目な話をしていた朔望だが、望の昔付き合っていた彼女の話が気になったらしく、和也と朔望は顔を望の方へと乗り出してまで聞くのだ。
「どんな風に付き合っていたか……ねぇ?」
望はその彼女のことを首を捻り腕を組み考えているのか、いきなり顔を赤くし、
「あのなぁ! 昔の俺と彼女の話はいいだろうがぁ、何で俺がそんなことをお前達に話さなきゃなんねぇんだよ」
「流石にバレちゃったか……。 まぁ、彼女と兄さんが別れた理由は和也には聞いているけどね。 兄さんが抱くのが下手だったからだったかな?」
「それをほじくり返すなよー!」
望は小さな声で言うと、今度は和也の方に向き、
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