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ー平和ー110

 そんな雄介の姿に望は微笑むと、少し照れくさそうに望もビール缶を天井へと掲げる。  久しぶりにビールを口にした二人。  雄介は一口口にすると、 「うわぁー! 久々に飲むビールは美味いわぁ!」  そんな雄介に望は静かに微笑んでいた。 「しかし、ホンマに俺達は入退院の繰り返しばっかやったな」 「まぁ、雄介の方が多いと思うけどな。 消防士をしてた時代なんか多かったと思うぜ」 「そりゃな……怪我はつきもんやからなぁ、それはしゃーないと思うで……」 「っていうけど……消防士で入院してきたのって最初だけじゃねぇの? 他はほとんど、それ以外の怪我だったような気がするんだけどなぁ」  望にそう言われ、考えているようだ。雄介は瞳を上に向かせて腕を組んでいるのだから。 「あ、そう言われてみればそうかもしれへんな。 最初は現場で怪我して、二回目は坂本とやりあっていて刺してもうただけやし、後はスキーで怪我して、後は飛行機か」 「だから、最初だけだって言っただろ?」 「そうでした……。 望やって三回位入院しとるんやなぁ。 記憶喪失になった時と誘拐された時と今回」 「まぁ、そういうことになるな」  記憶喪失で望は何か思い出したのか、望は雄介の方に視線を合わせ、 「そういやさぁ、今日、和也が言ってたんだけど……俺って、まだ、記憶喪失の時の後遺症ってあるのか?」 「さぁ? 最近、熱が出たり、酒を飲んだりしてへんかったからなーって、今、酒飲んでるから分かるんと違う?」  雄介にそう言われて、再度、今お酒を飲んでることに気付く望。 「あ、ああ、そうだな……」  望は記憶喪失の後遺症のことについて、体に熱を持つと積極的になるという話を雄介や和也から聞いている。今もまだ、その後遺症は続いているのであろうか。少し不安な所だが、恋人が目の前にいるのだから特に不安がることはないのかもしれない。  望は一息吐くと、 「とりあえず、お前はどんな俺でも受け入れてくれるって言っていたよな?」 「そりゃな……当たり前やろ?」 「なら、いい……」  雄介の言葉に安心したのか雄介に向かい望は笑顔を見せるのだ。

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