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ー希望ー15

「ただ単に、まだ、俺の経験不足なのかもしれへんけどな……坂本さんの方も何も見当たらないようなんですけど」  望も雄介の話を聞きながら坂本のレントゲン写真を見るのだが、それは雄介の言う通りで、レントゲン写真には異常は見当たらなかった。 「確かにレントゲンでは異常は見当たらないな。だけど、坂本さんは前の病院では風邪ではないかもしれないって言われて、ウチの病院に紹介されたからさ。後はもう一度、本人に病状を聞いたりして診察とかしてみて異常がなかったら、大丈夫だと思うんだけどさ……咳だけが酷いのか……。まぁ、後は坂本さんのことを診るのは桜井先生の診断に任せるからよ」  望は何かに気付いたようだが、その診断は雄介に任せたようだ。 「とりあえず、時間だけど……どうするんだ?今日はここまでにして帰るか?」 「帰る!」  雄介はそう強く断言しながら立ち上がると、望の手を取り、 「逆に検査じゃ何も出ぇへんかったし、望がただの睡眠不足って言うんやったら、帰って飯食うてもう後は寝るしかないやろ!今日の望は何もせんで寝る!そこは流石に恋人としても医者としても俺が許さへんかんな!」  そう真剣な瞳で言う雄介に、望は一瞬、言葉を失ったのだが、望は顔を少し俯けながら人差し指で頬を掻く。  いつもとは違うというのか、仕事が終わったから気持ちが入れ替わったからなのだろうか、雄介のその言葉が恥ずかしかったのかは分からないのだが、顔を赤らめている姿を雄介には見せたくなかったのか顔を俯けてしまっていた。 「なら、早く着替えて来いよ。それで、早く帰ってイチャイチャラブラブなことしろよなぁ」  和也に促されると、雄介は望を連れて更衣室へと向かうのだ。  二人はすぐに着替え終えると、 「ほな、和也、また明日なぁ」 「おう!今日は二人でゆっくり過ごせよ!」 「お前に言われんくても分かっとるよ!」  雄介は望の手首を引きながら部屋を出て、望の車が止まっている駐車場へと向かう。 「今日は俺が運転するから車の鍵貸せよ」 「ああ、そうやな……今日の朝は俺が運転してきたから、俺が鍵持っておったし」  雄介は望に鍵を渡すと、雄介は助手席へと座る。

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