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ー希望ー21
「そう言うか……なら、望達に相談しなきゃ良かったなぁ」
「あー、分かった! そういうことなら、聞いてやるよ」
その和也の言葉で望は前に和也に約束していたことを思い出したのかもしれない。それに、そこで和也に無理やり新城に聞いてみろと言っても、次和也が望達に相談したいことがあった時に相談してこなかったらやはり親友とは言えないのかもしれないとでも思ったのであろう。
「あのさぁ、新城に一つ聞きたいことがあるんだけど……」
望は和也のお願い事を聞き、丁度、望とは反対側に居る颯斗に少し身を乗り出し聞くのだ。
「なんでしょう?」
「前にお前が和也のことを狙っていたことがあっただろ? その時の謎はお前が親父に頼まれてやってたことだって言ってたじゃねぇか……。だから、お前は本当は和也のことを本気で好きじゃねぇのかなぁ? って思ってさ……」
その望の質問に颯斗はクスリと笑い、
「まぁ、私と院長は昔付き合っていた仲でしたからね」
その颯斗の言葉に望だけではなく、雄介も和也も身を乗り出したようだ。
「って、嘘だよな?」
「流石にそれは冗談ですけど……。私と院長は仲はいいですよ。多分、吉良先生以上にね。とりあえず、院長と私の父が仲が良かったので、それで院長に呼ばれてアメリカから日本に戻って来たんです。だから、一時は本宮裕実さんとも一緒に働いてもいましたし、裕実とは恋仲でもあった時期もあったかな?」
結構、無関係そうに聞いていた裕実だが、その颯斗の一言に飲んでいた飲み物を吹き出しそうになったようだ。
「ちょっと! 違いますよ! 僕と新城先生はそんな仲じゃありませんでしたからね! 新城先生、冗談は止めて下さいよー」
「やっぱり、君は本当に真面目な性格なんだねー。冗談が通じないというのか……」
「そりゃ、裕実は真面目な性格だよ。俺が好きになったヤツだしな」
「ってことは、和也は僕のことはそんなに好きじゃなかったってこと?」
今まで黙って聞いていた実琴だが、その和也の言葉を聞いて目を細めながら和也のことを見つめていた。
「え? あ、そうだな……?」
直ぐに答えない和也を見て再びクスリとする颯斗。
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