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ー希望ー35
「ほんなら、俺も仕事中は仕事して、家に帰ってからゆっくりしよ」
雄介は望の横にある机に座ると、パソコンを使い始める。
「そういや、吉良先生……?」
「なんですか?」
「坂本淳さんのことで聞きたいことがあるんですが……」
雄介はそう言うと、さっき坂本の病室で聞いた坂本の症状を望に伝える。
すると、望は頭を掻きながら言う。
「やっぱりか……」
「やっぱりってことは、吉良先生は気づいていらっしゃるってことですか?」
「まぁ、一応な……。とりあえずは昨日から気づいてたんだが、桜井先生にそれを聞いて、ますますその病気だという可能性が高くなってきましたよ」
その望の言葉に、雄介は首を傾げる。
「ということは、吉良先生は坂本さんの病気について、当てはまる病気が思い付いたってことですか?」
「そういうことだ……。この病気はまだ症例が少ないみたいで、内科医でも判断しづらい病気らしい。だから、前に坂本さんが行っていた医院の先生は診断がつかなかったんじゃないかな?」
「そうだったんですか……」
「とりあえず、桜井先生はどう診断するつもりなんですか?」
「自分で調べるだけ調べてみて、最終的に吉良先生に聞くことにしますよ」
そう言うと、雄介は再びパソコンに視線を向ける。
部屋の中には、二人がパソコンのキーボードを叩く音だけが響き渡る。
そして昼の仕事を終えた和也が部屋に入ってくると、相変わらず静かな二人にため息を漏らす。
「……ったく、お前らは本当に仕事に真面目なんだな。ま、確かに俺も一応は真面目だけどさぁ、俺より真面目ってどういうことだよ?とりあえず、飯食いに行こうぜ」
和也は二人の背中をポンと叩き、笑顔を見せる。
「せやなぁ、ほな、飯にするか!」
雄介は今までずっとパソコンに視線を向けていたせいか、猫背になっていたようで、体を伸ばす。
「何か体動かしておらんと、体がなまりそうやわぁ。ずっとパソコン作業ってのもなぁ」
「ま、雄介にはずっとパソコン作業は疲れるだろうけど、それは仕方ねぇだろ?仕事なんだからさ」
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