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ー希望ー38
和也は雄介の指示に従い体温計を持って来ると、
「とりあえず、体温計な……後、俺は水とか冷えピタとか持って来るからよ」
和也はそう言うと、雄介の元から離れる。雄介は望の額に体温計を当てると、すぐに結果が出る体温計らしく、その体温計は三十八度を指していた。
雄介はため息を漏らすと、
「そういうことやったんかいな。これで、望が素直やった理由が分かった気がするわぁ」
今日はそんなに暑くはないはずなのに、気付けば望の額には汗が滲んでいる。
それを雄介は持っていたハンドタオルで汗を拭うのだ。
「ホンマ、望は頑張り過ぎやって……」
「……ゴメン」
「別に謝らなくてもええで……。とりあえず、これからはもっとペースを落として、俺達の為に頑張ってくれたらええしな。熱が出るっちゅうことは、体が休みたいって言っている証拠やし、それに昨日から体調は崩れ始めておったんやから、確実に体を休ませてくれって言ってた訳やしな。俺が昨日のうちに気付いておったら、望が完全に倒れる前にストップかけることが出来とったんやけどなぁ。ま、とりあえず、熱が引くまで仕事のことは考えんなや……」
雄介は望に向けて笑顔を向けると、望は安心したのか小さな声で、
「分かったよ。桜井先生がそう言うなら、俺の体調が良くなるまでゆっくりさせてもらうことにするよ。とりあえず、もし俺が担当している患者さんに何かあった時は、新城先生に頼むようにしてくれよ」
「ああ、分かったで……。まぁ、確かに今の俺では経験不足やしな……そん時は新城先生頼む事にするわぁ」
二人が会話をしていると、和也が水や冷えピタを持って戻って来た。
「とりあえず、症状は熱だけなんだろ?」
「まぁな……脈が早いのは熱があるからやろうし、熱だけの風邪やと思うで」
「そうか、医者のお前がそう判断したんなら、そうなんだよな」
「そういうことや……。前に望が熱を出した時は慌てふためいて何も出来へんかったけど、今日は直ぐに対処出来て良かったわぁ。まぁ、それでも、ホンマやったら昨日のうちに気付いてれば良かったんやけどな」
「それを言ったらきりがねぇだろ? いいじゃねぇか……望が完全に倒れる前に助けられたんだからさ」
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