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ー希望ー46
四人でどこかに出掛ける度に和也が自分の車を好むのはそうこともある。
静かな車内。 望自らあまり話をしないタイプであるのだから雄介が話をしなければ車内は静かになってしまう。
雄介も今日は運転しているからなのか、それとも望の今の雰囲気に声が掛け辛いのかもしれない。
雄介が車を走らせ約二十分位でホテルに到着し雄介が車を降りると、その後に望も車を降り雄介の後を付いてホテル内へと入って行く。
そして部屋内に入ると雄介はベッドの上に大の字になって、
「なんや、久々にこないなとこに来ると新鮮な感じがするわぁ。 ほんで、どないするん?」
望はこういうとこは苦手なのか雄介のようにゆったりとはせず未だに部屋内をウロウロとしていた。
「望はこういうとこでは落ち着かへんの? ほなら、今日はやめとくか?」
何気に雄介は今日はその気にならないのであろうか。 わざと望が嫌と思わせるような場所に来ているのだから。
「あ、いや……大丈夫だ……」
望はそう言うと、雄介が横になっているベッドの端に腰を下ろす。
雄介はそんな望に一息吐くと、体を起こし、
「ほなら、風呂入れてくるなぁ」
雄介はそう言うと、風呂場へと向かいお風呂のお湯を溜めに行く。
お湯を溜めると、雄介は再びベッドへと向かい横になるのだ。 そしてリモコンでテレビを付けチャンネルを回す。
未だに部屋内は静かで、お風呂からの水音とテレビからの音しか聞こえて来ない。
雄介はそんな雰囲気にため息を吐くと、座っている望の腰に両腕を回す。
「今日は望から抱いて欲しいって言うたんやで、ほなら、望がその気にならんと……何か寂しいねんけどな」
「ま、そうだけどさ……俺は別にホテルまで来なくても良かったっていうか……」
「そっか……そういう意味で、望はその気やなかったんやな。 そこは俺が望の意見を聞かへんで動いたから悪かった。 せやけど、何も言わんと俺に付いて来たのは望やろ? それやったら、やっぱな……」
「その気になれっていうのか?」
「当たり前やろー。 俺だけその気になったって、面白くない訳やしな……」
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