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ー希望ー61
「気合い?」
「せやせや。まだ俺は医者になったばっかりやし、覚えることが山ほどあるんや。なんかこう、気持ちの入れ替えっちゅうんかなぁ?」
「だって、頭はいつも洗ってんだろ?」
「まぁ、そうやねんけど……ええんやって。次、望とこんなことできるんがいつになるかわからへんしな」
「確かにそうかもな」
「せやから、今のうちにっていうか……よし、明日から頑張るぞ! っていう気合いや! 気合い!」
「まぁ、頑張ってくれよ。お前がしっかり仕事できるようになったら、和也たちとみんなで一緒に仕事するんだからさ」
「せやな! 俺たちにはそういう目標があんねんから。ホンマ、俺も頑張らなアカンわ。医者は今までの仕事とは違うしな。今までは上の指示で動いてたけど、医者は自分で動いて、看護師たちに指示を出さなあかん立場やからな」
「まぁ、そういうことだな」
雄介は頭を洗い終えると、大きく息を吐きながら両頬を叩いた。
「よっしゃ! 明日から、頑張るで!」
「あ、ああ……」
その雄介の気合いの入れように、望はどう答えていいのかわからないようだった。
「俺、ちょっと湯に浸かっておるから、望は体洗ってええよ」
「ああ……」
雄介はそう言うと、浴槽の中に浸かった。
「なぁ、望……坂本の病気って、ホンマ、なんなん?」
「それは仕事の話だし、明日以降にしてくれよ」
「そない悠長に言っておるけど、命に関わる病気とは違うん?」
「ああ、まぁ……な。治療を間違わなければ大丈夫だよ。それに多分、俺の予想では消防士って仕事に関係してくるのかなぁって思うんだよな」
「消防士って仕事に関係してきてるん!?」
「まぁ……多分な。煙を必要以上に吸いすぎてなったんじゃないかと俺は思うんだよ。とりあえず、消防士って仕事は怪我もだけど、病気とも隣り合わせの仕事なんだな」
「確かに、防護服の中は安全と言えば安全やねんけど……それでも完璧ではない訳やしな」
「そういうことだよな」
「俺やって、酸素ボンベが切れそうになったことがあるし」
望は体を洗い終えると、浴槽の中に入った。
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