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ー希望ー64
「望が大丈夫やって言うんやったら大丈夫やろ? 俺も早く医者として慣れなきゃなんないしな。あと、坂本のことも気になるし」
「でも、お前、アイツに酷いことされたんだろ?」
「それはしゃーないやんか……俺も悪いんやしな」
「それだって仕方ねぇことじゃねぇの? 流石に消防士でも防護服なしで火の中に飛び込むなんて無理だろうしさ」
「まぁ、そうなんやけどな……。まだ、あの頃は消防士として働き始めたばっかりやったし、防護服がなきゃ火の中に飛び込むなんて無理やって思い込んどった。でもな、バケツ一杯分の水を体全体に被れば、短時間なら火の中でもなんとかなるんやで。顔を守れるヘルメットがあれば、なおさらやな」
「そうだったんだ。でも、坂本さんはお前にただ逆恨みしてただけじゃないのか?」
「まぁ、そうやねんけど……。でも、もしその方法を知っとったら、坂本の家族を助けられてたかもしれへんやろ?」
「まぁ、そうだけどさ」
「せやから、そのことに関しては俺も悪いんや。あの時も言うたけど、恨まれるのは仕方ないって思っとったしな」
「でも、確かお前、もう犯人の目星はついてたんだろ?」
「まぁな。それまで俺が恨まれるようなことなんて思い当たらんかったしな。元彼女はおったけど、振られたのは俺の方やし。となると坂本しかおらんかったんや。ある意味、俺が裁かれてもおかしくないって思うとった」
「ホント、お前は優しすぎだよ。普通なら、自分を怪我させた奴なんて絶対に許せないはずだろ?」
「せやから、それは前にも言うたやろ? アイツは俺を殺そうとしたんやなくて、自殺しようとしたんや。それを俺が止めようとして誤って刺されただけやって」
「……うん、まぁ、そうなんだけどさ。でも、どうしても納得いかないっていうか……」
「とりあえず、確かにアイツは俺を恨んでたかもしれへん。でもな、お互い様ってことで話はついたんや」
「そうだよな」
「それに今はアイツ、俺の患者さんやし。そこは助けてやらなアカンやろ?」
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