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ー希望ー68
「桜井先生! それと、本宮さん! 急いで、ドクターヘリまで来てください!」
と、仕事中は真面目な望が雄介と裕実にそう声を掛ける。
「どないしたん? 何か緊急事態でもあったんか?」
「そう! だから、来たんだよ。 雄介はもう、一人前の医者なんだから、ドクターヘリに裕実と二人で行けるだろ? まぁ、俺たちもドクターヘリで現場には向かうけどさ。」
「ほんで、どういう状況なん?」
雄介と裕実は部屋から出ると、望と和也とともに屋上にあるヘリポートへと向かう。
「十キロメートル先の山の中で飛行機が墜落したっていう連絡がさっき入ってきて、うちの病院からドクターヘリを出して、怪我人を救助しに行くことになったんだよ。」
「そういうことかいな……」
雄介は屋上に到着すると、先程望が言っていた山の方へと視線を移し、やや頂上より向こう側で煙が上がっているのが見える。
「ほな、行くで!」
雄介はもう医者として自信を持てるようになったのか、表情を変えると雄介達四人はヘリコプターへと乗り込む。
「状況はどんな感じなんやろな?」
「どんな状況かは未だに分からねぇよ。 だけど、さっき、親父から聞いた情報によると墜落したのはジャンボ旅客機で、搭乗者は三百人程だって言ってた。 まだ、消防のレスキューも到着してない状態だし、それ以外の情報は入ってきてないんだよな。」
「飛行機が墜落したんじゃ、レスキューも動いてるっちゅうことか……。せやけど、まだレスキュー隊員も現場に到着してないってことやな」
「まぁな」
「そういや、さっき、物凄い音が聞こえたのが飛行機が墜落した音やったっちゅう訳や」
「まぁ、そういうことだ。それで、手が空いてる医者と看護師で現場に向かうことになったんだけどな。桜井先生も研修医だった頃に何度もドクターヘリに乗ったことがあった訳だし」
「とりあえず、今日は午後から診察の日やったからな。今はドクターヘリの方で……ってことやな」
そんなことを話していると、雄介達は現場に到着し、墜落事故が起きた現場近くにある頂上の広場へと降りる。
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