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ー希望ー69
ヘリコプターでなら、どうにか山の頂上に降りられる場所があって、そこに着陸させる。
そこからは飛行機墜落事故が起きた現場まで少し歩かなければならない。
雄介達はヘリコプターが着陸してから現場まで向かうと、先に到着していたのはレスキュー隊員達で、既に救助活動が行われていた。
飛行機が墜落することは今ではそう滅多にあることではない。だが、稀に飛行機が墜落することだってある。
現場に着いた望達は言葉を失いそうな光景が広がっていた。
ジャンボ旅客機はもう跡形もなく地面にバラバラに砕け、未だに煙を上げている。
座席も散らばり、乗っていた乗客も誰一人座席にはおらず、乗客は絶望的な状態だ。
だが、それでも生存者で怪我をしている人がいれば、雄介達が必要となるのだ。
「今まで飛行機の墜落事故ってなかったけど、結構、悲惨な事故なんやな」
「鉄の塊が上空から落ちちまうんだからな」
望は雄介の言葉にそう答えると、煙のせいなのか咳き込み始める。
「救助隊が生存者を見つけて来るまで、俺達はここで待機しとるだけやし、マスク位しとこうか?」
「そうだな……こんな状態じゃ、俺達まで参っちまうだろうしな」
頂上のちょっとした広場で、望達は救助隊が生存者を見つけるまで待機している。だが、ジャンボ旅客機が墜落した現場は煙が上がり、かなり空気が悪い。健康な人でも煙を沢山吸い込んでしまえば、かなり体に悪いのだから、望達は一旦ヘリコプターまで戻り、マスクをする。
すると、この状況で絶望的な中、坂本が両腕に男の子を抱え、雄介達がいる頂上の広場へと来る。
「おっ! 坂本やんかぁー。 その格好はレスキュー隊員になれたんやな?」
「ああ、まぁな……。 とりあえず、生存者連れて来たから、後はお前達宜しくな」
「ああ、大丈夫やって! 任しといてくれや!」
雄介は坂本に向かって笑顔を向けると、坂本もその笑顔に答えるかのように雄介に笑顔を向けるのだ。
昔、雄介がレスキュー隊員だった頃、事故に遭った人を救助し、望にバトンタッチしたことがあった。
人を救助する職業同士でのリレーをし、人の命を繋げていくのがここにいる人達の仕事だ。
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