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ー希望ー70

 人の命を助ける職業同士でバトンを渡すと、今度は雄介達医者の出番となる。  今、雄介の腕の中にある小さな命。まだ息はあるものの、頭部から出血があるのか、既にぐったりとしていた。 「望! とりあえず、裕実と俺は先にこの子を連れて病院に向かうな!」 「ああ。 ドクターヘリは一機しかねぇから、その子を病院に連れて行ったら、戻ってきてれ」 「ああ……」  雄介と裕実はドクターヘリへと乗り込むと、雄介はヘリコプター内でその男の子の治療を施しながら病院へと向かう。  そして、そこに待機していた医者へとバトンタッチをすると、雄介と裕実は再びヘリコプターへと乗り込み、現場へと戻ってくるのだ。  雄介が再び現場へと戻った頃には、レスキュー隊員の手により生存者は頂上の広場へと集められ、望が応急処置にあたっていた。 「とりあえず、雄介達はヘリコプターで患者さん達を運んで行ってくれ。 俺はココで応急処置するからよ」 「ああ。 それはええねんけど、救助者は数人だけか?」 「まぁ、今のところは……って言いたいところだけど、もう、生存者はいないらしいぜ」 「そっか……。 ほんなら、俺はヘリコプターで患者さんを運んで行くな!」 「ああ、宜しく!」  雄介は望にそう言われ、ドクターヘリへと再び乗り込むと、病院へと戻り、再び現場へと戻るということを繰り返し、生存者が最後の女性となると、雄介と裕実はその女性と一緒にヘリコプターへと乗り込むのだ。そして病院へ向け、ヘリコプターが離陸していく。  ヘリコプターが現場から離陸した直後、いきなりの突風にヘリコプターは揺れ、どうやらヘリコプターはその突風に耐えきれず、機体は風に煽られる。  今日は雲一つ無い快晴で、風もあまりなく、台風も近づいているとも朝の天気予報では言っていなかったのにも関わらず、機体は風に煽られ、雄介が気付いた時にはヘリコプターの窓が上にあることに気付く。 「ちょ、なんやねんって……」  シートベルトしていたおかげで、雄介は少し頭を打っただけで済んだのか、ゆっくりと体を起こすのだ。 「ちょい、頭が痛いねんけど……俺の方は大丈夫って所やな……」  雄介が辺りを見渡すと、裕実もヘリコプターが墜落した衝撃で一瞬意識を失っているのであろうか、瞳を閉じている姿が目に入ってきたようだ。

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