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ー希望ー90

「それでも、凄ぇよ。それに裕実に聞いたんだけどさ、ヘリが事故った時に患者さんを背負って山を降りたらしいじゃねぇか。俺はそういうとこ、お前には適わねぇよ……いや、何もかもお前には適わない気がする。そりゃ、望も雄介が好きになるって訳だ。だって、雄介は男から見てもカッコいいって思えるんだからよ。今は颯斗よりもお前の方が上なんじゃねぇの?」 「流石に新城先生よりは劣るやろ?」 「そうか!? まぁ、それはいいんだけどさ。これで、もう、いつ俺達が診療所で働くことになっても大丈夫だよな……まぁ、後は裕実が治り次第っていう所か……」 「俺も安心してみんなと一緒に仕事が出来るかな?」  和也は裕実の方に顔を向けると、 「後はお前が早く治れば、俺達の夢が叶うことになるぞ!」 「そうですね! 早く治すように頑張りますからね!」 「でも、無理はするなよな」 「はい! 大丈夫ですから!」 「まぁ、その間は俺が世話してやるからなぁ、安心しろ!」  そう和也は、何故かにやけた顔で裕実を見つめる。そんな和也に裕実が気付かないわけがない。裕実は顔を赤くし、 「下心丸見えですから!」 「下心ってなぁ……あのなぁ、看護師が世話しないでどうすんだよー!」  そう急に真面目な顔をして言う和也に、裕実は首を傾げながら見つめる。 「……へ? 本当に下心無しっていう事ですか?」  そんな裕実の反応に、和也は吹き出しそうになりながら、 「お前には負けたよー。半分は真面目にだけど、やっぱり、半分は下心で……って事だな」 「やっぱり、そうじゃないですかー!」  裕実は顔を赤くしながら、枕で和也のことを叩く。 「ゴメン! ゴメン! ゴメンってー! つーか、俺に禁欲生活なんか無理だからー! せめて、裕実の世話だけでもって……」  そんな二人のじゃれ合いを見届けながら、雄介と望は裕実の病室を出る。 「あの二人は相変わらずやんな」 「まぁな。とりあえず、裕実も元気そうで良かったよ」 「せやね」  と、その時、望の内ポケットに入れておいた携帯がバイブレーションで震え、メールが来たことを知らせてくる。

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