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ー希望ー91
「雄介、ちょっと待ってくれよ。携帯が鳴ってるからよ。多分、雄介や和也たちじゃないとすると、親父からの可能性があるからさ」
望は雄介にそう言うと、携帯を開いた。
すると望の予想通りというところだろうか、メールの送り主はやはり裕二で、そこには、
『院長室に来るように……』
と書かれていた。
「雄介、車で待ってるか? 部屋で待ってるか? 俺、親父に呼ばれてるからよ」
「ほんなら、部屋で待ってるわぁ。時間かかるかもしれへんのやろ? それなら、まだまだ勉強とかしてたいし、部屋でパソコンしてるから終わったら呼んでー」
「ああ、分かった……」
二人は途中で別れ、望は院長室へと向かった。
そして、一応ノックをしてから院長室に入る望。
「いつも言ってんだろ? 俺たちは忙しいんだからさ、意味のないメールはするなって……」
「君は相変わらずだねー。意味のないメールではないと思うんだけど、前に君たちには診療所で働いてもらうって話をしただろ? そのことについてなんだけどな」
「分かった……それで?」
「一応、ある島に診療所はできたわけだけど、君たちはいつ行けるかなぁ?って思ってね。雄介君も今は研修医を終えたわけだし、今では立派な医者になったわけだから、そろそろ君たちに話を出してもいい頃だと思ったからね」
「それは、みんなと話をしてから、いつ行くか決めるよ。今回の飛行機事故で雄介のお姉さんと甥っ子が乗っていたみたいで、せめてお姉さんたちが退院してからにするよ。そんなに急ぎではないんだろ?」
「確かに急ぎではないんだけどねぇ。その島では今まで医者がいない無医村で、大病を患った時にはドクターヘリで搬送するか、死を待つか……しかなかった所だからね」
「分かった! 後、一ヶ月だけ待ってくれねぇか? そしたら、俺たちが行くからよ。それに、裕実が治ってねぇしさ」
「そう言えば、昨日、ドクターヘリが事故を起こして、裕実君は怪我をしたんだったね」
「やっぱり、最低あと一ヶ月は行けねぇな……それに、患者さんの引き継ぎもしないとだしな。その間に行ける準備はしとくからさ」
「分かった。まぁ、そういうことだから、診療所は望に任せたよ」
望は軽く頭を下げると、院長室を出て行った。
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