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ー信頼ー4

「しかし、アレやんなぁ? ホンマに患者さん来ないやんかぁ……」 「それはさっき望にも言ったけどさ。この島、空気がいいし、小さい島だから、風邪のウイルスなんかも定期便で運ばれてくることが少ないんじゃないか? それに今は夏だし、流行ってる病気もあんまり無いだろ。もしかしたら、島の住人たちはみんな健康なのかもしれないな」 「まぁ、もしそうだとしたら、それはそれでええ事やと思うねんけどな。ほんなら和也、午後は待機でええから、ここに残っててくれへんか? 俺らも散歩とかしてみたいしな。何かあったら携帯で連絡くれたらええから」 「分かった。じゃあ俺と裕実は今日はここに残っていればいいんだな」 「ああ、ほな、よろしく……」  雄介は食事を終えると、食器を流しへと運ぶ。 「望も行くんやろ?」 「ん……あ、ああ。俺もご馳走様」  望も食器を片付けると、 「それじゃあ、俺らちょっと散歩してくるわ」 「いってらっしゃーい」  和也は食事を続けながら手を振る。 「俺らがいない間に、裕実のこと抱くんじゃないで……」  雄介の一言に、和也は飲んでいた味噌汁を吹きそうになる。 「俺だって、さすがに留守番頼まれてるのに、そんな事はしねぇよ! 早く行ってこいよー」  雄介は笑いながら手を振ると、望と一緒に診療所を後にした。外に出ると、雄介は大きく伸びをして、 「ホンマ、都会とは違って、空気がええとこやなぁ」 「確かに、そうだな」  望は雄介の言葉に同意し、空を見上げながら微笑む。 「ほんなら、まずどこに行く?」 「どこに行くって言われてもなぁ……」  望は辺りを見回すが、診療所から右手には小高い山、左手には砂浜が広がる海が見えるだけで、本当に小さな島だ。 「ま、とりあえず住宅地のある方に行ってみるか?」 「せやな。ほんなら、海の方は後やな」  そう言う雄介の声は少し小さい。どうやら、彼は海側に先に行きたかったのかもしれない。  そんな雄介の小さな声を聞き取ったのか、望が尋ねる。 「ん? 雄介、海の方に行きたかったのか?」 「まぁ、それもあんねんけど……とりあえず望が言うように、先に住宅地の方を見た方がええかなって思うてな。海の方は後でもええやろ……ってな」  雄介の言葉に、望は少し首を傾げるが、すぐにうなずく。 「じゃあ、とりあえず……今はこっちからでいいよな?」  そう決めると、二人は住宅地がある山側へと歩き始めた。

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