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ー信頼ー5
住宅地へ向かう道は、山が近いせいか少し傾斜がある。その道を、二人はゆっくりとした足取りで登っていく。
「あ、和也が言ってた小さな雑貨店があんで……」
「本当だな。まぁ、ここで消耗品は買う方が便利そうだな」
「せやね」
歩みを進めると、次に学校らしき建物が目に入った。
「やっぱ、こういう所の学校って、生徒数が少ないからか、建物もそんなに大きくないなぁ」
「まぁ、そうなんだろうな。生徒数っていっても、数十人くらいじゃないか?」
「今日は生徒の気配も無いし、今は夏休みってとこなんやろな?」
雄介の言葉に、望は腕時計に目を落として日付を確認する。
「そうみたいだな。今は8月の半ばだし、ちょうど夏休みの時期だよな」
「こんな自然が豊かな所に住んでたら、楽しいやろなぁ。夏休み中は、山で虫取りしたり、海で遊んだりして、自然を満喫してるんやろな」
「へぇー、そういう遊びができるんだな。俺、虫取りとかってやったことねぇんだけど……」
「そうやったんか!? ほなら、今度一緒に虫取り行くか?」
雄介は目を輝かせて望を見つめる。だが、望は少し困ったような顔をして、
「あ、いや、別にいいって……俺たちもう子供じゃねぇしさ」
「そっか……ほなら、ええか……」
さっきまで輝いていた雄介の表情が一転、残念そうに曇る。本当に雄介という男は、子供のように表情がコロコロ変わるやつだ――望はそんなことを思ったかもしれない。
「今日は学校より上にある山を登るのは止めとくか?」
「ああ。確かに今日はやめておくか。山登りはまた今度な」
「ほなら、あの角を曲がって、海の方に向かうってことやな?」
「ああ、多分そうだな」
二人が歩を進めると、今度は和也が言っていたコンビニが見えてきた。
「コンビニ、ここにあったんか……けど、診療所からちょっと遠いなぁ」
「自転車でも持ってきた方が良かったかもな。一応、和也と俺の車はあるけど、ここだと車移動の方が逆に不便そうだしな。でも、自転車も坂が多くてしんどいかもな」
「せやね……」
「親父に頼んで自転車送ってもらうのもアリかもな……いや、どうだろうな?」
「まぁ、分からんけど、あったらあったで便利かもしれへんな」
そんな話をしていると、ふいに二人の横を女の子が自転車で坂道を駆け下りていった。だが、スピードを出しすぎたのか、バランスを崩してしまい、そのまま二人の目の前で転んでしまった。
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