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ー信頼ー11

 和也や望は雄介の言葉にひと息吐くと、 「そういう事だったのか……。 悪いな、俺達が勘違いしててよ」 「まぁ、望達に説明せんと行ってまった俺等も悪いから、そこはええねんけどな。 そいで、俺等がいない間、診療所の方は大丈夫だったんか?」 「ああ、まぁ……相変わらずって所かな? まだ、患者さんの方は来てねぇよ」 「もうちょっと、診療所が出来たって事をアピールしてもいいんじゃねぇのか?」 「んー、多分、こんな小さな島やから、もう、診療所の方はあるっていうのは分かってるやろし、そこは、もうしつこい位にアピールせんでもええんと違う? とりあえず、まずは俺等が子供達と仲良くなって、そいでから、往診みたいなのをしてみるっていうのはどうなんやろか? もし、高齢者とかがいて診療所には来れないっていうんやったら、その方がいいと思うしな。」 「ああ、とりあえずはそうして、島の住人達と仲良くなってたらいいのかー。 雄介と和也が子供達の方に声掛けてくれてるんだったら、俺と裕実で往診の方はやらせてもらおうかな?」 「ああ、分かった……」  雄介は望のその言葉に頷き、クスリとするのだ。  雄介のその笑いには何か意味があるのであろう。  こうして仲間同士で話し合い、もしかしたら、いい診療所を目指すのが望の父である裕二の目的なのかもしれない。  雄介はご飯を終え立ち上がると、 「とりあえず、島の住人達と仲良くなるまでは、診療所の方には人が来ないと思うから、その間っていうのは逆にゆっくりとした方がええんと違う?」 「まぁ、そういう事だなーってな訳で、裕実! 今日はイチャイチャー……」  と和也は裕実の事を抱き締めようとしたのだが、裕実の方は顔を赤くしながら手を和也の顔に当て制止を求め、 「嫌です!」  そう裕実にしては珍しく、和也からの要求に断りを入れてきた。 「だって、僕達だけで楽しんでしまったら、望さん達が可哀想じゃないですかー。 望さん達だってイチャイチャしたい筈ですよ。 でも、この状況下で望さん達お医者さんは、いつでも待機してなきゃならないんですからね。」 「そういう事な。 大丈夫だって! 患者さんはまだ来ないだろうしなぁ。」 「その根拠はなんです?」  そう裕実は和也に向かって正論を真っ向から言っているようだ。 きっと裕実からしてみたら、裕実も望達も納得出来る意見を和也に求めているのであろう。 「根拠が無いんでしたら、僕達にゆっくりしている暇なんて無いんですってば!」

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