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ー信頼ー13

「こんなに近くに恋人がいるのに、何もしないんじゃあ、恋人同士っていう感じがしないだろ? 恋人っていうのはさぁ、ただの友達じゃあないんだからさ。ま、恋人のことを抱くっていうのは、今のところは無理だとしても、せめて、イチャイチャなことやラブラブなことはいいよな?」 「せやね……確かに和也の言う通りやんな。このままやと二組とも前の俺たちみたくなり兼ねんしな。ほら、ひとつ屋根の下で暮らしておるのに、忙しいって言葉を理由にイチャイチャなことをしなかった時代があったやろ?」 「ああ、お前が大学時代にな。とりあえず、そんなことにはならない程度にってことだよな」  和也は裕実の方に顔を向けると、 「こうやって望からもお許しが出たわけだし、今夜はイチャイチャしながら寝ようなぁ」 「わ、分かりましたよー」  これで裕実の方も納得できたのか、それとも久しぶりにこう和也とイチャイチャできるということを想像してしまったのか、裕実の方は急に顔を赤くする。 「とりあえず、飯食い終わったしー、風呂にでも入って来ようかな? 裕実、一緒に入ろうぜ」 「……って、和也はさっき外から帰って来て、お風呂に入ったんでしょうが……」 「あ、そっか……」 「って、忘れてたんですか?」 「んー、忘れてたっていうのかぁ、久しぶりにお前と風呂に入りたかったっていうのか?」 「大丈夫ですよー。お風呂くらい一人で入れますからね」 「そういう意味じゃなくてなぁ?」 「って、今の和也と一緒にお風呂なんか入ったりしたら、危険な狼さんになりかねないので、お風呂には僕一人で入って来ますよ」  裕実は立ち上がり、ひとまず食器を片付けに行こうとしたのだが、 「危険な狼さんにならなければいいんだろ? でもさぁ、一緒に入るんだったら、イチャイチャなことくらいはしたいかな?」 「……へ? 本当に大丈夫なんですか? 和也は僕とお風呂に入るっていうだけで……」  和也はその裕実の言葉に笑顔で数回、頭を縦に振る。 「でしたら、僕の方は全然構わないんですが……」 「ならさ、一緒に入ろうぜ」  裕実からそう承諾を得ると、和也は椅子から立ち上がり、満面の笑顔で部屋着を取りに行ったようだ。 「では、僕たちの方は先にお風呂いただきますね」 「あ、ああ……」  裕実の言葉に雄介はそう返事をすると、裕実もリビングから出て行く。

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