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ー信頼ー15
望は雄介の言葉にひと息吐くと、
「俺は別に……その……お前と恋人らしいことを嫌がってるって訳じゃねぇんだよ。 ただ、島の暮らしがさ、思ってたのとは違ったなーって思ってな」
その望の言葉に雄介は意味が分からず、首を傾げる。
相変わらず、そういった話が苦手な望。 だからなのか、いつも以上に話し下手になっているのかもしれない。 あまりにも遠回しな話し方に理解不可能と言った方が正解だろう。
「それって、どういう意味なん?」
望は雄介が掴んでいた手を離すと、再びお皿を洗い始める。
「だからだな……確かに仲のいい同士で働いているっていう事は、自分が言いたいことを言えるからいいことでもあるし、楽しいから寂しくもない。 だけど、恋人同士になると時間を取ることができない。 確かに夜は診療時間ではないのだけど、その時間っていうのは、例え診療時間じゃなくても急患が来れば対応しなければならないんだしな。 だから、こう俺たちのプライベートな時間っていうのは本当に無いって訳だ。 間違いなく今の俺っていうのは、雄介との時間をゆっくりと過ごしたいと思っているっていうのか……」
「ま、確かに、そやね。 ここは確かに俺たちの夢やったけど、現実っていうのは、思ってたよりも全くもって違うって感じやしな。 東京の病院で働いている時よりか、こうプライベートな空間みたいなのが完全に無くなってしまったって事やんな」
「まぁ、つまりはそういう事なんだよな。 それに、俺たちは二人とも医者だからさぁ、和也たちに比べたら自由な時間が無くなってしまったっていうのか……」
「こうなったら、意地でも自分たちのプライベートな時間作った方がええって事やんな? さっき、望も言っておったけど、ラブラブな時間やイチャイチャしている時間っていうのは、いくらでも作ることはできんねんけど、その望を抱く時間っていうのが難しい所やしなぁ」
「お、俺は……別にそこは……」
特に望はそこまで意識していなかったのかもしれないが、どうやら雄介の方は真面目にそこまでを考えているようだ。
「……って、一年も二年も望のことを抱けんのは流石に辛いわぁ」
「でも、患者さんの方は待ってくれやしねぇだろ? 例えば……その……挿れてる最中だったらどうするんだよー」
「まぁ、確かにそこはな……って思うねんけど。 ほなら、暫く望のことは抱けへんって事になるんかいなぁ?」
「まぁ、そういう事になるな」
「ほなら、そこはもう強行突破しかあらへんな」
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