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ー信頼ー18
「ん? 雄介たちと同意見だよ。俺たちも患者さんを優先にして動くことに決めたんだ。だから、俺たちの方も解決ってわけ」
「ほなら、そのことについてはそれでええってことな。他に何かあるか? こう、悩んでることとか? 困ってることとかって……」
「特にはねぇよ」
何かまだ言いたそうな和也に、雄介は首を傾げる。
「なんかあるっていうんやったら、言うてくれた方がええねんけどな?」
「まぁ、そこは俺の趣味っていうのか……やってみたいことっていうのかな? 何かイベント事をして島の人たちとの交流をしていった方がいいんじゃねぇのかな? って思ったんだけどな」
「……イベント事!?」
「例えば今の季節だったら、夏祭りとかな? まぁ、そこはきっとやってると思うからいいとして……クリスマスの時期になったら、クリスマス会をやってみたりとかさ。そうそう! 雄介なんかは消防士だったんだから、子供たちと一緒になってちびっ子消防団みたいなのを作ったらいいんじゃねぇのかな? もし、島の中で火事とか地震とかが起きて津波が来た時の対処法なんかを教えたらいいんじゃねぇのかな? って思ってんだけどよ」
そう真面目に話をしてくる和也。本当に和也という人間は、真面目な時と遊びの時をきちんと分けているのだろう。
「あー! そういうことなっ! せやな、それやったら、消防団の方は俺が担当するわぁ。ほなら、和也はクリスマス会みたいな行事の方、担当してもらってもええか? あ! 寧ろ、裕実と望がそういった方の担当にして、俺と和也が消防団の方の担当がええかな?」
「ああ、なら、そうするかー。とりあえず、明日、子供たちと会ったらさぁ、探りみたいなのを入れてみるのもいいのかもな。ほら、この島のこと、俺たち全く知らないんだから、実際問題この島でやってる行事みたいなのは聞いておいた方がいいんだしよー」
「せやね、まずはそこからってことで……」
「とりあえず、望と裕実はそれでいいのか?」
「ああ、そこはお前らに任せるよ」
「ですね。僕の方はそういうことはやったことないので、やってあげたいとは思ってはいるんですけどね」
裕実はそう言うと、和也に向かって笑顔を見せた。
「そっか……なら、とりあえず、やっぱ明日子供たちに会ってからだな。それと、悪いけど、診療所の方は裕実と望に任せるな」
本当に真剣な口調で言う和也に、望も、
「ああ、分かった……」
と答えるのだった。
「診療所の方は望と裕実に任せたら、俺たちも安心できるしな」
「なら、今日はそろそろ寝るか?」
「そうですね」
和也と裕実は立ち上がると、裕実は望と雄介に頭を下げて二階へと上がって行った。
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