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ー信頼ー20

 望は体を洗い終え、雄介が入っている湯船にゆっくりと入っていく。  正面同士に座る二人。もしかしたら、本当に久しぶりに向き合って話すのかもしれない。 「……ん?」  それまで一人で浴槽を占領していた雄介は、望が入ってきた気配に気付き、少し場所を譲るように体をずらした。  久しぶりに見る恋人の顔に微笑む雄介は、その頬にそっと触れる。 「そっか……なんか違和感があると思うたら、眼鏡が無いんや」 「お風呂に入る時はいつも外してただろ? 眼鏡付けて入ったら曇って意味ないしな」 「そうやったな。なんや、こうして望の顔をまともに見るのも久しぶりな気がするわ。眼鏡がない望を見るのも久しぶりやったし、やっぱ無いと無いで違和感があったな」  雄介は軽く笑うと、片手で望の後頭部を支え、そっと唇を重ねる。  そしてすぐに離れると、 「望の唇も、なんか久しぶりのような気がするわぁ」  望はその雄介の行動にクスリと笑い、 「確かに。この一週間……いや、たぶんこの一ヶ月は、お互いの顔をちゃんと見る時間もなかった気がするな。ほら、この一ヶ月って、島に来るために色々準備で忙しかっただろ?」 「せやな……確かにそうやったな。春坂病院での引き継ぎもあったし、引っ越しの準備も大変やったしな」 「そういうことだな」 「ここに来てからの一週間だって、ドタバタしてたしな。そう考えたら、望の顔をまともに見る暇なんてなかったんやろなぁ。ほなら今日は……今もやけど、この後でイチャイチャでもしようか?」  雄介は笑顔を見せる。その笑顔さえ、望がまともに見るのは久しぶりのように思える。 「何だか、お前の笑顔っていいよな」  望の素直な言葉に、雄介は首をかしげながらも、 「そうなんか?」  と答えた。  その雄介の言葉に、望は軽く微笑む。 「まぁ、望がそう言うんやったら、それはそれで嬉しいわぁ。俺も望のその笑顔、好きやけどな」

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