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ー信頼ー22
雄介は優しく両手で包み込むように望の体を抱き締めると、
「ホンマに望と、こんなにゆっくりとした時を過ごすのは久しぶりのような気がするわぁ」
「……だよな」
まともに雄介の声を聞いた望は、気持ち的に恥ずかしいような気がするのだが、そんな雄介に抱き締められたまま、久しぶりに雄介に癒されているようだった。
「……やっぱ、恋人の温もりっていいよな」
雄介は望の言葉で何かを思い出したのか、
「ホンマやな。 望の言う通りだわぁ。 やっぱ、恋人同士の温もりっていうのは大事なんやな。 こうやって抱き締め合って、温もりを感じることが幸せな時やし、前に望が言っておったように、温もりこそ忘れちゃアカンもんやねんなぁ」
「まぁ、そういうことだよな……でも、この一ヶ月は全くそんなことは思ってなかったけどよ。 それでも、雄介が側にいるっていうだけで、俺の方は温もりを感じてたけどよ」
「まぁ、側に居るのと居ないのとでは、違うってことやんな。 後は、ずっと側にいるっていう安心感ってのもあるのかもしれへんなぁ」
「まぁ、それもあるんだろうよ。 雄介はそのー、やっぱ、医者になって良かったって思ってたりするのか?」
「そりゃな……ホンマ、望と出会うことができて、人生が変わったような気がするしなぁ。 まさか、俺が医者を目指すなんて思うてもなかったことやしな。 医者になっても人を助けることはできるし、これからもずっと働いていくことはできる。 望と出会ってなかったら、まだ消防士として働いておったんやろな。 それに、将来はどうなっておったんやろ? ほら、消防士っていうのは体力があってナンボの世界やろ? せやから、現役でいくつまで消防士として働いていけるんやろな? まぁ、運が良ければ官僚とかになって、何かあった時には指示を出せるような仕事に就けてたのかもしれへんけど……。 ほら、消防士だって官僚になれる人員っていうのはひと握りやしな。 まぁ、何でもかんでもそこはそうなんやけどな。 ほら、プロ野球選手だって、サッカー選手だって、そうやろ? そしたら、やっぱ消防士の将来っていうのは当てにならんかった訳やしな。 それなら、医者になれて正解やったんと違う?」
「でも、雄介なら官僚クラスになれたんじゃねぇのか? 頭もいい訳だしさ。 あ、でも……そうだ……決断力がな……」
「確かにな……そこは全くもって望に言われるまで気付かなかったことだし、望と会ってなかったら意識してなかった所なのかもしれへんよな?」
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