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ー信頼ー25
「まぁ、ほとんど和也がやってくれましたけどね」
「そうだったのか」
望たちも家事を済ませると、それぞれの役割に合わせて準備を始める。望と裕実は白衣に着替え、診療所の準備へ向かう。一方、雄介と和也は水着に着替えると、早々に外へ飛び出していった。
そんな二人に呆れつつも、望と裕実は診療所へと向かう。
雄介たちが海に着く頃には、子どもたちが昨日と同じように崖の上から海へ飛び込んで遊んでいる姿が目に入った。
「よっしゃー! 今日もやったるで!」
雄介は子どものような無邪気な笑顔を浮かべると、勢いよく崖を駆け上がり、海へと飛び込んだ。
そんなことを何度も繰り返し、数時間が経つと、彼らは昨日と同じように浜辺で一休みすることにした。
「なぁ、蒼空……俺たち、まだここに来たばっかりやから、この島のこと、もっと聞きたいんやけどええか?」
「うん!」
「ほんならなぁ、この島に消防団とかってあるん?」
「……消防団!?」
「ん? 消防団って知らんの?」
「うーん……知らない」
「まぁ、知らなくても意味は分かるやろ?」
「うん、そのくらいはね。でも、この島には消防団なんてないよ。消防署もないし」
「そっか、確かに消防署も消防団もなさそうやったな」
「あのね、この島では今まで一度も火事が起きたことがないんだって。だから、必要ないって思ってるんじゃないかな。それに、お巡りさんもいないから、警察もいらないって感じなんだよ」
「まぁ、確かにそうやけど……それでも、もしもの時のことも考えなあかんやろ」
そこで会話に割り込んできたのは和也だった。
「ってさ、雄介って確かに今は医者だけど、昔は消防士だったんだぞー!」
「消防士!?」
その言葉に、蒼空は目を輝かせながら雄介を見上げた。
「ほらな……やっぱ食いついた。最初っからお前が消防士やったって言うたら、男の子は興味持つもんやで」
和也は小さな声で雄介に耳打ちする。
「せやけどなぁ、あんまり自慢できるようなことでもないし……」
「いやいや、子どもっていうのは医者よりも消防士に憧れるもんなんだよ。間違いないって」
「そうなんか?」
「そういうこと。ほら、続きを蒼空たちに話したれ」
「あ、せやったな……」
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