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ー信頼ー41
雄介は急に真面目な顔をすると、望の方へと顔を向けた。
「なぁ、真面目な話……望はここに来て、俺とラブラブなことしたいって思うとるんか? ほら、昨日とかは和也達がおったから、望のことやし反対しておったみたいやからな」
「あー、えっとー……」
雄介からの質問に、望は自分の考えを口にしようとするが、頭の中で考え込み、一旦言葉を詰まらせた。
「あー、そのー、確かに俺は……その……やっぱり、もし患者さんが来た時にプライベートのことを楽しんでて対応してたら、島の人達の信用をなくすかもしれないだろ? だから、そこは反対なんだけど、そのな……本音を言ったら、やっぱり、お前と……なんて言うのかなぁ? やっぱり、その……キスとか……したりとかはしたいよな?」
「そっか……それなら良かったわぁ。もし望がそう思ってなかったら、望とは一旦、友達からやり直して、この診療所が順調にいくようになってから、また望に告白しようかと思うとったところやったしな。ま、望がそう言ってくれるんやったら、大丈夫や。そう……俺な……そのことについて昨日から真面目に考えておったんやって……。確かに、俺達はこの島に来てから、キスの一つもしておらんかったしな……せやから、俺は望に愛想つかれたと思うとったし、まぁ、この一週間はドタバタしておったっていうのもあるしな。なんやろ? 環境が変わってもうて、俺が若干、鬱気味になっておったからなのかもしれへんなぁ? 確かに今は仕事が無いから体の方は全然疲れてる気はせえへんけど、精神的には参ってもうてるのかもしれへんよな?」
「まぁ、確かにな。ここ数日間でみんなと色々と話し合えたし、島のことや島の人達のことも考えなきゃならなかったしな。でもさ、和也達もいるんだし、せっかく仲の良い者同士が一緒に居るんだから、みんなで話とかして頑張っていけばいいんじゃねぇのか? そのために親父が俺達にこの島で診療所を開いてくれたんだと思うしさ」
望はそこまで言うと、自分の言葉に何か疑問を抱いたように首をかしげた。
「ちょっと待てよ。俺達をこの島で働かせる意味が、今ので分かったような気がするんだけど……」
「まぁ、そういうことなんやろな。『どんな困難なことがあったとしても仲間のことを信じて道を開いてってくれ』って意味なんやろな?」
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