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ー信頼ー42

「多分、そういうことなんだと思うぜ。なら、みんなで力を合わせて頑張っていくしかねぇよなぁ?」 「そういうことやんな……」  雄介は一旦体を起こすと、望の唇へと自分の唇を重ね、それから再び横になった。 「ほな、今日はおやすみな。もう今はキスだけで十分やしな。多分なぁ、今は昔みたいにがっつかなくなったんやろな? 確かに昨日は望のことを抱きたいって思うとったけど、俺の中での本心っていうのは、望のことを抱きたいって思わなくなってきたみたいやわぁ。あ、勘違いせんでええからな。今やって望のことを十分好きだっていう気持ちはあるし、せやなぁ……まぁ、もう体の方は若くはないっていうことなんかな? まぁ、自分的には恋人が側に居るだけで十分に幸せだっていうことなんかな?」 「あ、それだと……さっき言ってた、その……あ、あのさ……友達同士っていう意味と変わらなくないか?」 「あ、まー、でもな……キスしておるんやったら、そこは友達同士っていうわけにはいかんやろ?」 「あ、まぁ……そうなんだけどさ」 「その言い方やと、何かまだ不満があるそうな感じやなぁ?」 「あ、いや……その……」 「まさか……欲求不満……とか?」 「そ、そんな訳ねぇだろ!?」  望は雄介のその言葉に顔を赤くしながら、少し小さめの声で叫んだ。しかし、明らかに動揺している様子は隠せなかった。 「ふーん……そういうこっちゃな。確かにここん所忙しかったから、恋人の“コ”の字もなかったんやけど、昨日からみんなと話し合ってきて安心したんやろな? せやから、恋人とのことを考える余裕が出てきたっていう訳やんな。まぁ、望が望むんやったら、俺はいつでも望のこと抱けるんやけどなぁ。まぁ、そないにハッキリと言うてしまったら、望のことやから意識してもうて抱けんようになってまうから、また、今度、そないな風に思った時にしようなぁ」 「な、ならさ……そのさ……その……和也がよくやってる……」  望は未だにはっきりと言葉にできないでいる。それでも、今の雄介には望が何を言いたいのか、伝わっているようだった。 「イチャイチャぐらいは……ってことか?」 「あ、まぁ……そういうことだ」  きっと、望は今、最高潮に顔を赤くしているだろう。だが、この暗闇では人の顔さえもはっきり見えない状況だ。きっと、雄介にも望の赤い顔は見えていないに違いない。

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