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ー信頼ー45

「望が風邪をこじらせて死んでしまったら、俺と楽しいことだってできなくなるんやから。とりあえず、今日は望のことを診るだけやで」  雄介のその言葉に、望は拗ねたように「分かったよ!」と言い放つと、反対側に体を向けてふて寝をしてしまう。  そんな望を見て、雄介は呆れたようにため息をつき、部屋を出て行った。  しばらくして戻ってきた雄介が目にしたのは、薬が効いたのか、すっかり眠り込んでいる望の姿だった。  雄介は安堵のため息をつき、静かにその様子を見守る。  とはいえ、雄介も思うところがある。望が熱を出した時に見せる積極性は決して嫌いではない。むしろ愛おしく思うことさえある。ただ、それをうまくかわすのが大変だ。  翌朝、雄介は早起きし、キッチンで朝食を準備していた。  そんな中、裕実と和也が揃って起きてきた。 「おっ、雄介、おはよー」 「おう、おはよー」 「あれ? 望は?」  いつもなら和也よりも早起きしてソファで新聞やニュースを見ている望がいないことに気づいた和也が尋ねる。 「ちょっとな……望、風邪ひいてもうたみたいやから、今日はまだ寝てるわ」 「あ、なるほどなぁ、そういうことだったのか……」 「望の奴、ここんとこ大変やったみたいやしな。疲れがたまって免疫力が落ちてしもたんやろな」 「まあ、そういうことだよな。本当、望は一人で頑張りすぎなんだよな」 「せやな……」 「あ! そういえば、昨日から望さん変でしたね。素直っていうか、普段の望さんじゃ考えられないような感じで……」  裕実が思い出したように言うと、和也も思い当たる様子でニヤリと笑う。 「確かに! ってことはさ、昨日、雄介は望に襲われちゃったんだろ?」  和也は雄介をからかうように視線を向けるが、雄介は全く動じずに答えた。 「まあな、襲われかけたけど、何とかかわしたわ。俺は熱出してる奴に手を出すほど飢えてないしな」

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