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ー信頼ー46

「そっか……。まあ、今日は望にゆっくりしてもらうかな。たまにはそうしてやらないとな。体が休みたいって言ってるわけだし、これまで忙しすぎたんだろうしな」 「そういうことやんな」  雄介は会話を続けながら朝食の準備を整えると、鍋からお粥をよそい、テーブルに運ぶ。 「ほな、出来たで。望にも食べさせるつもりでお粥にしたし、みんなで食べようや」  テーブルに並べられた朝食を見て、和也が感心したように言う。 「本当、お前って何でも作れるんだなぁ」 「とりあえずな。前に望と住み始めた頃にも、そんなこと言われたわ。東京に出て一人暮らし始めた時、消防士として働く以上は、ちゃんと栄養あるもん食べなあかんと思うて、本とかネットで色々勉強したんや」 「なるほどなぁ」 「それに、消防士の時は一日働いて一日休みのサイクルやったから、暇な時間も丸一日あったしな」 「その時間を有効活用したってわけだ」 「まぁ、有効ってほどでもないけどな。料理は嫌いじゃなかっただけや」  和也は頷きつつ、ふと気になったことを聞いてみる。 「そういや、雄介って他に趣味とかあんのか?」  雄介はお粥を口にしながら少し考え込む。 「んー、特にはないかなぁ。強いて言うなら、体力づくりってとこやろか?」 「……それって、趣味って言えるのか?普通、映画とか音楽とかを挙げるんじゃねぇの?」 「んー、それやったら、ないのかもしれへんなぁ。ほな、和也はなんかあるんか?」  一緒に暮らし始めたことで、前は気にならなかったことを互いに聞きたくなるのだろう。 「んー、俺もあんまりねぇなぁ。敢えて言うなら車かな。小さい頃から好きでさ、今乗ってる愛車が一番のお気に入りなんだよな。ただ、改造とかには興味ないけどな」 「改造は興味ないんか?」 「うん。俺にとっては、自分の愛車を傷つけるようなもんだって思っちゃうからな。まあ、ドライブするくらいが趣味ってとこだな」  雄介は和也の言葉に頷きながら、自分の思い出を振り返る。 「車かぁ……そういや、前に望とドライブくらいはしておけばよかったわ。望と一緒に住み始めてから、あんまりデートもしてなかったしな」 「デート、か。望って、そういうのあんまり興味なさそうだけどな」 「せやな……望の場合、外では手さえも繋いでくれへんしな」  二人は笑い合いながら、朝のひとときを楽しむ。その裏で、雄介の心には、望と過ごしてきたこれまでの時間の大切さが静かに染み渡っていた。

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