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ー信頼ー49

「とりあえず、診療所の方を案内するなぁ。先ず今いる所というのは、待合室なー! 診てもらう前に待っててもらうとこー。もし、ここに来る事になったら、先ずはここで待っておったなぁ。ほんで、順番が来たら俺が診るからな」  待合室には、五人ほど座れるソファがあり、子供が遊べるようなちょっとしたスペースもある。畳にして四畳くらいだろうか。そこには、ぬいぐるみや絵本、玩具などが置いてある。ただ、いまだに訪れる患者さんはいないので、絵本などは真新しいまま本棚に飾られているだけだ。  この提案をしたのは、もちろん雄介だ。春坂病院にも小児科の前に似たようなスペースがあったことや、病院に対する子供たちの印象が良くないことから、遊べる場所を設けることで気持ちを和らげられるのではないかと考えたのだ。  次に雄介が案内したのは、自身の診察室だった。雄介の診察室は小児科がメインということもあり、大きなクマのぬいぐるみが置かれ、子供たちが喜びそうな空間になっている。要は、「病院らしくない」雰囲気を作り出す工夫がされているのだ。子供たちにとって病院は嫌な場所というイメージが強い。そのため、いかにそのイメージを払拭するかを考え、工夫してきたのだろう。  さらに、雄介側の診察スペースにはテレビが置かれ、常にアニメが流れるようになっていた。一方、反対側にある望の診察スペースは、大人がメインのため、非常にシンプルで清潔感のある空間だ。余計な装飾もなく、ごく普通の診察室といった雰囲気である。  診療所内を案内し終えた雄介は、待合室へと戻ると子供たちに話しかけた。 「まぁ、診療所っていうのはこんな所かな? ほな、次はちびっ子消防団の方やんなぁ。みんなココに座って……」  雄介は待合室の四畳ほどのスペースに子供たちを集め、座らせる。 「ま、とりあえず、ちびっ子消防団としての目標っていうのは、この島から火事を出さない事でええか? その為にはどうしたらええと思う?」 「んー、そこはテレビで見たことがあるんだけど……毎晩、見回りをする!」 「ええねぇ。ほな、見回りの他に何かあるか?」 「あ! ポスターとか作るのもいいんじゃない?」 「ポスターなぁ。そしたら、みんなも注意するようになるんやろうし、それもええなぁ。みんなそれぞれ自由に描いて島中に貼ったらええんと違うかな? ほな、他に何かあるか?」

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