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ー信頼ー57

 雄介は蒼空の所に行く前に、和也が寝ているベッドの方へと向かうと、 「大丈夫かぁ?」  そう、本当に心配そうに和也に声を掛けた。 「あ、まぁ……まだ頭はボーっとしてるけど、裕実に持ってきてもらった飴とかジュースで糖分を摂ってるから、すぐにでも復活できそうなんだけどな」 「ホンマ、裕実も気が利くんやなぁ」 「まぁな……。 本当、アイツも看護師って仕事が転職なのかもしれねぇぞ。 恋人だからってわけじゃなさそうだしな。 元から真面目な性格だけど、看護師になってその真面目が更に発揮されてるって感じかな? ってか、裕実もいいけど、ホント、お前もすごいもんだよな。 雄介と俺ってあんまり今まで一緒に仕事してなかったけどさ、雄介もすごいんだよなぁ。 ここ数年で決断力もつけたって感じだしさ。 だって、そのことについて、よく望と話してなかったか?」  その言葉に雄介はクスリと笑い、 「今さっき望にもそんなことを言われたわぁ。 みんなそう言うねんけど……。 俺は和也たちがいたから頑張れたんやで。 和也たちがいなかったら、今頃は医者になってなかったと思うしな。 ほら、あの時、みんなにキツく言われて……っていうか、こうダメだって言われると逆に俺は熱くなってまう性格やねん」 「それで、褒められると謙虚になっちゃう性格なんだな」 「それって、普通やんか」 「いや、褒められると伸びるタイプの人間もいるしな。 実はそれは俺だったりしてー」 「うん……まぁ、とりあえず、輸血してくれてありがとうな。 俺、もう蒼空の様子見に行きたいし」 「ん? 蒼空の方は裕実が見てくれてると思うぜ。 お前たちが診察室を出て行ってから、アイツは俺より『蒼空のことを一人にさせるのは可愛そうだから』とか言って、蒼空の方に行ってたからな」 「なーんや、そういうことやったんかぁ」 「まぁ、確かに今は蒼空のことを一人にさせるより、俺の方を一人にさせた方がいいと判断したみたいやしよ。 それに、俺の方は後は自分で体が血を作ってくれるのを待ってるだけだからさ」 「せやな。 まぁ、とりあえず、和也はもう自分で体のことが分かるやろ? 体が動くようになったら、今日は自宅の方でゆっくりしてたらええからな。 後、診療所の方は裕実と俺とでやっとくし、そこんとこは臨機応変ってことで……」 「分かった……」  そう言うと、雄介は蒼空がいる診察室へと向かった。

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