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ー信頼ー58

※色々と突っ込みところはあるかもしれませんが、気にせずにお読みいただけると助かります。  雄介が蒼空のいる診察室へ移動したと同時に、診察室のドアが開いた。 「スイマセン! 星花に蒼空が海で溺れたって聞いて、慌てて来たのですが……」 「ああ! 蒼空君のお母様ですね。初めまして、桜井雄介です」  そう言って雄介は、蒼空の母親に向けてお辞儀をした。 「初めまして。今日は本当にお世話になったと星花から聞きました。ありがとうございます。星花の話では、今回こちらに来た先生方が蒼空を助けてくださったそうですね。  それだけでなく、最近の子供たちの話を聞くと、診療所の先生の話ばかりなんです。それで、桜井先生が元消防士だったと聞いて、目を輝かせて話してくれました。ですが、本当に申し訳ないことに……私たちの島は、どうしても他所から来た人間を嫌うというか、警戒してしまう部分があって、診療所の方々に近づこうとしないところがありました。でも、今回の件で、きっと島中に診療所の評判が広まると思います。こんな小さな島ですから、噂が出回るのも早いでしょうしね。  それに、今回の診療所には若くて素敵な先生方がいらっしゃるみたいですから」 「ありがとうございます」  そう言って、雄介は再び頭を下げた。  その時、裕実が笑顔で立ち上がりながら言った。 「輸血、終わりました」 「後は蒼空の回復次第ということですね。それと、足に怪我を負っているので、しばらく痛むかと思います。鎮痛剤を出しておきますね」  雄介は隣のベッドで寝ている和也に声を掛けた。 「和也、大丈夫そうか?」 「ああ、まぁな。一応……俺の方は動けそうだけど……。もしかして、蒼空の輸血、終わったのか?」 「そういうこと……。和也、動けるようだったら悪いけど薬お願いできへんか?」 「ああ」 「薬はお前にしかできへんことやからなぁ」 「まぁな」  和也はゆっくりと半身を起こすと、ふらつかないことを確認し、大分回復した様子で薬を取りに向かった。

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