2008 / 2043

ー信頼ー62

「ほなら、明日は一応診療所は休みの日やし、みんなで挨拶回りしてこ。そういうことって早めにしといた方がええしな」 「確かに、そうだな」  二人は話を終えるとお風呂を出て部屋へ向かい、そのまま横になった。  そして翌朝。雄介と望はほぼ同時に目を覚まし、雄介は朝食の準備を始め、望はテーブルで新聞を読み始める。  少し遅れて和也と裕実も起きてくる。 「いつもと変わらない感じだよな」  和也がボソッと言いながらテーブルに腰を下ろし、裕実も続く。その頃には雄介がテーブルに料理を運んできた。  四人が揃って手を合わせて食べ始めた頃、雄介と和也がほぼ同時に声を上げる。 「あのさぁ」  二人が同時に言ったもので、思わず視線を合わせる。 「あ、雄介からでいいぜ」 「ほならなぁ、前に話したことがあったやんか……。俺と和也は子供達とコミュニケーションを取って、望と裕実が往診担当って話。まぁ、その往診の方を先に済ませた方がええんちゃうかな、って思ってな。ほら、俺ら、ここに来てから島の人達に挨拶してへんかったやんか。それで診療所に来てもらおうっていうのは、やっぱちゃうやろ? 先に顔を覚えてもらった方がええと思うねん。初めての人に自分の体診てもらうのって、不安やろうしな。それなら顔知っとった方が安心してもらえるんちゃうかな、って思うてな」 「あ! 確かに雄介の言う通りだな! 新しく来たんだから、挨拶するのは当たり前だよなぁ。本当、基本的なことを忘れてたぜ」 「ほんで、挨拶回りした後で往診担当の望と裕実に行ってもらっても遅くはないしな」 「そうだな、そうしよ」 「そいで、和也の方は何かあったのか?」 「んー、まぁ、大したことじゃないけどさ……頭に入れておいて欲しいことっていうのかな? 雄介って料理できるだろ? だから、お茶室とか調理室みたいな、コミュニケーション施設を作るのはどうかなって思ってよ。ほら、そういう場所があったら診療所っていう堅いイメージじゃなくて、近付きやすくなるんじゃねぇのかなって。ただの思いつきだけどさ」 「あー、まぁ、そういうのもありってことか。せやけど、流石の俺でも二つこなすのは無理かもしれへんでー」

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