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ー信頼ー64
「うん! 大丈夫!」
蒼空は笑顔で答える。
「それなら良かった。痛くなったら言ってな」
雄介は蒼空の身長に合わせて優しく言い、笑顔で蒼空の頭を撫でた。
「しかし、大変だなぁ。こんな所から学校に通ってたのか」
「うん、でももう慣れたよ。毎日のようにここから下に降りてるからね」
「そりゃあ、足腰が丈夫になるなぁ。じゃ、またな」
雄介は蒼空に言い、望達と一緒に丘を降りて行った。
挨拶回りを終えた後、望達は診療所に戻り、昼食を取ることにした。
「これで診療所に足を運んでくれる人が増えるといいな」
「うん、増えるかどうかは分からないけど、増えてくれたら嬉しいな」
「ま、それはさておき……今日はたまにはのんびりしようぜ」
「……それって、どういう意味だ?」
「決まってるだろ? 恋人同士でイチャイチャしようってことさ」
望は和也の言葉を聞いて、ふと雄介のことを意識し、顔を赤くしてしまった。
「確かに、和也の言う通り! たまには恋人同士でゆっくりするのもいいかもね」
「それなら決まりだな! とりあえず、診療所のドアに『何かあった時には携帯まで』って貼り紙しとこう」
「それがいいかもな。じゃあ、俺の携帯番号を書いといてー! そうすれば、電話が来たら和也達にも伝えるし」
「うん、それでいいな」
和也はそう返すと、隣に座っていた裕実を抱きしめる。
「んー、お前をこうやって抱きしめるのも久しぶりだなー!」
「んー! 和也、やめてくださいよー。恥ずかしいじゃないですかぁ」
「別に雄介達の前だし、恥ずかしがることないだろ。だって、雄介達は俺達のこと知ってるんだからさ」
「そういうことじゃないんですってばぁ!」
「なら、どういうことなんだよー?」
和也は裕実に向かって頬を膨らませる。
「あ、いや……その……なんて言うんですかね? 良くは分からないんですが……久しぶりだから恥ずかしいっていうか……」
そのまま黙ってしまう裕実。
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