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ー信頼ー65

「まぁ、仕方ないよなぁ。ホント、俺達ってさ、しばらく恋人同士でイチャイチャしてなかったから、裕実が恥ずかしがる理由も望が恥ずかしがる理由も分かる気がする。でも、それもまたいいんじゃねぇか?初々しくてさ。これじゃあ、いつまで経っても友達以上恋人未満のままだろ?恋人同士でいたいなら、前みたいにイチャイチャしたりしないとさ」  和也の言葉に裕実は何か吹っ切れたようで、和也を見上げる。 「やっぱり和也ってカッコいいです!分かりました!今日からはもう和也とイチャイチャしてラブラブなことをします!」  和也は裕実の言葉に嬉しそうに笑い、裕実を抱きしめた。その時、雄介が食事を運んできて、和也の方を見て言った。 「ええなぁ、和也は……」  そう言った後、雄介は望の方へと視線を向けたが、望は目を逸らし、反対側を向いてしまった。雄介は望らしい態度に、軽く息を吐く。 「ほなら、和也達はまた恋人に戻れたんやな。ご飯食べ終わったら、ゆっくり恋人同士の時間を過ごしたらええんやない?俺はまだやることがあるしな。望とゆっくりする暇があるかどうかも分からんし」 「え?そうなのか?」 「それなら、僕達も手伝いますよー」 「いや、それはいいって。望とやったら出来ることやし、和也達はゆっくりしてきてな」  雄介はそう言うと、ご飯を食べ始めた。和也はその言葉に気づき、何も言わずに黙った。 「そっか……それなら、俺達は遠慮なく」  裕実と和也はご飯を食べ終わると部屋に向かう。  リビングには雄介と望が残った。二人きりの時間ではあるが、なぜか会話はない。  雄介はキッチンで洗い物を始め、洗い物の音だけが響く。そんな中、望はさっき雄介が言っていた「やらなきゃいけない事」について気になり、話しかける。 「なぁ、さっきお前が言ってた『やらなきゃいけない事』ってなんなんだよ?」 「ああ、それか? んー、せっかく和也達が恋人に戻れたんだし、邪魔しちゃいけないと思ってな。そう言っといただけなんや。まぁ、特にやることはないけどな」 「それじゃあ、別に気にしなくていいんだな」  望は意味ありげに言った。

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