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ー信頼ー80

「気にしないでくださいよ。もう、望さんたちといる時間っていうのは長いんですから、望さんたちにどんな話をしたって大丈夫だって分かってますから。聞きたいことがあったら聞いてくださいね」 「ああ、まぁ……そうだったな」  裕実の言葉に安心したのか、望は彼に向かって微笑み返した。その直後、外から廊下を走る音が聞こえ、息を切らしながら和也が興奮気味に飛び込んできた。 「ちょ、外に出てみろよっ!」 「……って、そんなに慌ててどうしたんだよ。誰か急患でも来たのか?」 「それなら普通、診療所に来てもらうだろ? だからそれはない! まぁ、とりあえず外に出てみれば分かるって! 今までゆっくりしてなかったから、こういうことに気付かなかったのかもしれねぇけどさ」  和也の言葉に、裕実と望は頭の中がハテナマークでいっぱいだった。二人は首を傾げて見合わせたが、和也の興奮した様子が気になり、外に出ることにした。  外は島特有の暗さが広がっていた。街灯はほとんどなく、家の明かりが消えてしまえば、人の顔どころか姿さえも認識できないほどだ。  望たちが外に出ると、雄介も後を追うように姿を見せた。 「それで、和也……なんなんだよ?」 「とりあえず、上を見てみろよ」  和也は望たちを外に連れ出してきたにもかかわらず、具体的な理由を言わない。ただ和也の言葉に従い、空を見上げた。 「うわぁ、なんやねんこれー」 「確かにすげぇな……」 「都会では見られない光景ですねぇ」  三人はそれぞれに感想を漏らした。 「都会だと明るすぎて星がポツンポツンとしか見えないらしいけど、ここは周りが暗いから、こんなにも星が見えるんだな。天の川っていうやつだ。俺、天の川って七月七日にしか見られないと思ってたんだけど、普段の日でもこうやって見られるんだな」 「そうみたいやな。星って何億光年前の光が今、地球に届いてるんやって話やしな。そんだけ星は長い間生きてて、地球を照らして見守ってきたってことやんな。でも、不思議やと思わへん? こんだけ宇宙に星があるのに、生物が住める星って地球しかないんやで」 「まぁ、確かにな。宇宙人がいるって話もあるけど、そいつらがどの星でどうやって生きてるのかは、まだ地球人には解明できてないわけだしな。だから宇宙人が本当にいるのかどうかも、俺たち一般人には分からないってことだな」

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