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ー信頼ー85
「俺もそうかな? 何だろう? 今更、他の病院で働いたりして一からやるよりは、やり慣れた職場で仲のいいもん同士で働いていけている方が幸せだからな」
「でも、本気で喧嘩してもうて、口も聞きたくない状態になったらどうするん?」
「それでも、今は頑張っていくしかないんだろ? だって、今だってギリギリの人数でやってるんだから、そこで一人でも欠けちゃったら回らなくなっちまうんじゃねぇのか? それに、もう今の俺には女性なんて興味ないし、俺にはここでみんなで働いてやっていってるってことが幸せに思ってるくらいだからな。 ここを出て行ってしまったら、もう俺のいる場所っていうのは無いような気がするしな」
「まぁ、和也の性格やったら、きっとどこでもやっていけそうだけどなぁ」
「悪いけど……俺ってこう見えてもイメージとは違うんだぜ。 俺はもうみんなに慣れてきたからこんなに明るくいけるけど、慣れてない人の前では大人しい性格なんだよな。 やっぱ、ふざけていい人とふざけちゃいけない人っているだろ? だから、様子見してるっていうのか」
「そういうことやったんかぁ!」
「それに、俺も裕実と同じっていうのか……最初の頃は緊張しまくっててドジ踏んだりしてたからな。 だから、新しい病院とかで働くことはしたくないっていうのかな?」
「ほんだったら、これからも頑張っていこうな!」
「そうだな! あ! そうそう! さっき、お袋と電話してたら、来週の定期便で来るとか言ってたんだよな」
「……へ?」
その和也の突拍子もない発言に、声を裏返す雄介。
「まぁ、宿はこの島にある旅館に泊まるとは言ってたんだけど」
「でも、どうして……いきなり!?」
「『息子が成長した姿を見たい』って言ってたんだよー」
「『ムスコ』って!?」
その和也の言葉に、雄介は自分のモノに視線を向ける。
その雄介のボケに気づいたのか、和也は言う。
「おい……流石にそっちのムスコじゃねぇよ」
「分かってるわい。 ちょっとふざけただけやんかぁ」
「まぁ、そういうことだからさぁ。 ウチのお袋は一回行くって決めたら必ず実行派だからな。 マジで超憂鬱……」
「そないに嫌なら、和也だったら上手く断ること出来たんと違うの?」
「いいやぁ、流石に親には勝てないんだよなぁ」
「そういうことなんか……。 まぁ、そこはしゃーないっていうんかなぁ?」
「確かに、さっき話をしてて親のこと心配になったけど、電話してみて良かったのかもしれねぇな……。 まぁ、そこは色々となんだけど……。 だけど、親が来ることになったのは予定外のことなんだけどよー!」
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