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ー信頼ー91

「もしかして、望って低血圧だったりしてなぁ」 「そうなのかもしれへんなぁ。低血圧の人って朝弱いって言うしな。せやけど、高血圧の人よりは特に問題ないらしいで」 「なら、望の寝顔を覗いてくるのもいいんじゃねぇのか?」 「望の寝顔はしょっちゅう見てるしな。いつも俺のほうが先に起きてるから」 「そっか……じゃあ、そこで大人しく待つしかないみたいだよな」 「ほな、洗濯は?」 「ん? それは裕実がやってるー」 「ほなら、やっぱ、やることないんかいなぁ。家事は分担してやるって決めたんやから、俺たちが何もしないわけにはいかんやろ」 「それなら、日交代でやるか? 今日は俺たちがやるから、明日は雄介たちとかさぁ」 「あー! それなら、ええわぁ。そうしよっ!」 「ああ、そうしたら、明日の朝は俺たちがゆっくり起きてもいいってことやな。イチャイチャするの決定!」 「まぁ、そういうことになるなぁ。ほなら今日は俺はのんびりさせてもらうわ。テレビでも見てるし、出来たら呼んでくれ」 「ああ」  雄介はそう言うと、テレビがあるソファへと移動し、朝のニュース番組を見始めた。  暫くして、洗濯物を持った裕実が庭へ向かい、程なくして望も目を覚ましたのか、リビングへと入ってきた。  望はリビングの引き戸付近に立ち止まり、和也がキッチンで料理をし、雄介がソファに座っているという、いつもとは反対の光景に気付き、不思議そうな表情で二人を交互に見つめている。 「あ! 望さん! おはようございます!」  ちょうどその時、洗濯物を干し終えた裕実が戻ってきて、望の存在に気付いて声をかけた。 「あ、おはよう」 「どうしたんですか? さっきからキョロキョロしてるみたいですが……」 「あ、いや……なんか違和感があるような気がしてな」 「それは、和也さんが料理してて、雄介さんがソファに座ってるからじゃないんでしょうか?」 「ん? あ、そうなのかもな」 「それ、昨日話したじゃないですか? 家事は分担してやりましょう、って」 「あ、ああ、そうだったな」

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