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ー信頼ー101
「ああ、和也、よろしく!」
「俺は海に飛び込んで助けに行ってくるわ!」
「え? ちょっと待てよ、雄介! それはさすがに無謀だろ! もう、こんなに海が荒れてきてるんだぞ! そんな中、泳いで行ったら命を落としに行くようなもんなんじゃねぇのか!?」
「それやったら、誰が助けに行くっちゅーねん! 男やってな、この距離を泳ぐのはかなりしんどい距離やぞ!」
「だからって、お前が行ったからってどうにもならねぇだろ! それに今、自分で言ってただろ、この距離を泳ぐのは大変だって! お前が行って帰ってきたら、もっと大変になるんじゃねぇのか! 人を助けて戻るなんて、余計にしんどいだろ!」
「せやけど、ここでただただ人がこの島に向かって泳いでくるのを待つだけなんて、俺にはできない性分やねん!」
「それに、人を助けて戻ってこれる自信なんかあんのか? 昔レスキューで人命救助してたって言っても、もうブランクがあるだろうが! それに十年以上も経ってんだぞ。今じゃあの時みたいな体力なんてあるわけねぇし、装備だって何もねぇんだ!」
「あー……せやけど、悪い! 望! 俺にはただ見てるだけなんて無理やねん!」
雄介はそう叫ぶと、望の制止を振り切り、そのまま海へと飛び込んでいった。
「……ったく」
望は雄介の姿を見送りながら、深いため息をついた。
「しょうがないですよ。雄介さんって、人を助けることに一生懸命な方なんですから……。だから、ここは雄介さんが戻ってくるのを信じて待ちましょうよ」
「だけど、こんなに海が荒れてる中で海に入るなんて、命を捨てに行くようなもんだろ?」
「まぁ、それは確かにそうなんですけど……でも、雄介さんは昔訓練してたみたいですし、僕たちとは違って体力もあります。だから、雄介さんのことを信じて待ちましょう」
「確かに、前に俺たちが船でアメリカに向かおうとした時に助けに来たことはあったけど……今はあの時とは違うしよ。装備も何もねぇし、十年も訓練も救助もしてない奴が、本当に人を助けられるのか……そこが心配なんだよ」
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