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ー信頼ー105

 和也はそう言うと今度は望の方に向かい、 「とりあえず、俺は診療所に行って毛布とか温かいお茶とか持って来るから、後は望達に任せるな」 「ああ、分かってる……」 「それにしても、毛布とかどれくらいあるのかな? どれだけの人が陸に上がって来るか分からないけど、たくさん必要になると思うんだよな」 「ああ、分かった! 災害用の毛布を借りて来るよ。とりあえず、歩夢は手が空いてるだろ? ここには望と朔望がいれば大丈夫そうだし、手伝ってくれないか?」 「うん、分かった! 確かに兄さん達が居れば安心だしね」  そう言うと、歩夢は和也と裕実の二人と共に診療所の方へと向かった。  その間にも雨雲が島の上空に広がりつつある。 「そろそろヤバいみたいだね。天気予報では今日の夜に台風がこの島に接近するって言ってたけど、この感じだと夕方にはもう雨も風も強くなりそうだ」 「そうだな……」 「ん……船以外で助ける方法はないのかな? あとは海上保安庁がヘリとかを出してくれればいいんだけど……」 「……海上保安庁!? そうか! 海保も来てくれるはずだよな。むしろ、雄介が行かなくても良かったんじゃないのか?」 「ただ、船を出してくれるかどうかが問題なんだよね。確かに海保は遭難事故や転覆事故の救助に来てくれるけど、隊員の命も守らなきゃいけないから、こんなに海が荒れてる状況だと動けないんじゃないかな?」 「でも、海保は海難救助のプロだろ? こういう状況も想定してるんじゃないのか?」 「ん……まぁ、想定内だとは思うけど、本土からここまで船で約五時間かかるんだよね。ヘリならそんなに時間は掛からないとは思うけど、今日の天候じゃヘリを飛ばすのも難しいんじゃないかな? あ、フェリーだと五時間かかるけど、海保の船だったらもっと早いかもしれないね。でも、この島の船一隻で事故現場と島を往復するにしても、一回の運航で運べる人数には限りがあるよね……。夕方までに全員を運ぶのは可能なのかな? そこが心配だよね」 「まぁ、そうだな」

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