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ー信頼ー116
「和也の言う通りだと思いますよ。朔望さんも、歩夢君も、もっと望さんの事を分かってあげた方がいいと思います。望さんが朔望さん達に素直になれないのは、きっと、人と深く接する経験が少なかったからなんじゃないでしょうか?
小さい頃、望さんが朔望さん達と一緒にアメリカに行かなかったのも、親や朔望さんに対して信用できず、心から話せなかったからだと思います。望さんが昔の話をするときには、よく『ばあちゃん』という言葉が出てくるんですよね。きっと、おばあちゃまのことが本当に好きだったんだと思います」
裕実は少し言葉を区切りながら続ける。
「じゃあ、なぜ望さんはおばあちゃまのことをそんなに好きだったのか……それは、きっとおばあちゃまが望さんの話をちゃんと聞いてくださっていたからじゃないでしょうか?望さんはおばあちゃまには心を開けていたんだと思います。だから、子ども心に朔望さん達とアメリカに行っても楽しくないと感じて、日本に残ることを選んだんでしょうね。
その影響で、今でも望さんはお父様や朔望さんに対して素直になれず、反抗的で、心を開こうとはしていないのかもしれません。それに、朔望さんのそんな言葉遣いや態度じゃ、望さんの心を開かせるなんて無理だと思いますよ。むしろ、それが原因で距離が縮まらないんじゃないですか?」
裕実の言葉を聞いた和也は、思わず目をパチクリさせた。だって、そうだろう。少なくとも和也より後に望と知り合った裕実が、まさかここまで望のことを分析していたなんて、予想もしていなかったのだから。
「お前、すげぇな……短い時間しか望といないのに、そこまで分析できるのかよ。俺なんかよりよっぽど観察眼があるんじゃねぇか?」
「それは、僕に対して望さんが色んなことを話してくれるからですよー」
「あ、確かに……それはあるかもな。うん、俺より裕実には色んなこと話してるような気がする」
「和也には話さないことを、僕には話してくれますからね」
「まぁ、それは分かってるんだけどさ……なんでなんだろうな?俺なんかより裕実に話せる理由って……そこが俺には分からねぇんだよなぁ」
「それは、和也が望さんの話をふざけたり茶化したりするからなんじゃないですか?」
「あー……確かにな。裕実は真面目に望の話を聞いてるもんな。でもなぁ、俺だって、わりと真剣に聞いてるつもりなんだけどな……」
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