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ー信頼ー117

「後は、和也が望さんに未練があって、下心があるような雰囲気を出しているからなんじゃないでしょうか?」 「それは流石にないな。もう、望には未練も無いし、下心も無いよ」 「でも、和也は望さんに告白したことがある人ですから、望さんからしてみたら、信用されていないって感じているのかも」 「あ、それは、確かにあるかもな。うん、望は、俺が告白する前は、色々なことを相談してくれた気がする。雄介が望に告白してきたことも、俺が告白する前に相談してきたしな」 「じゃあ、それが理由かもしれませんね。望さんが和也に心を開けない理由は」 「なるほどなぁ。それなら、分かる気がするわ。今度からは、望からの話を茶化さず、真面目に聞くようにしないとな。望にちゃんと話してもらえるように努力しないと、ホント、さっきの朔望じゃないけど、親友なんて呼ばれなくなっちまうし」 「はい、頑張って下さいね」 「……って、お前さ、今までそんな能力持ってたのに、何で隠してたんだ?」 「特に理由なんてありませんよ。それに、まだ自信があるわけじゃありませんし、別に自慢するようなことでもないですから」 「ん……まぁ、確かにそうなんだけどな」  和也はそこで一旦言葉を止め、しばらく黙ってから言った。 「電気も消されたし、いつの間にか朔望達も寝ちまってるし、俺達も寝ようか?」 「そうですね。おやすみなさい」 「ああ、おやすみ」  電気が消され、周囲が静かになると、今まで聞こえていた人々の話し声も消え、雨音と風がガラスを叩く音だけが体育館内に響く。  屋内は、台風のために丈夫に作られているので、平穏な感じが漂っているが、外では猛烈な風が吹いているようで、木々がなぎ倒されるような音が聞こえてくる。以前聞いたことがあるが、台風の中心部に入ると、風は強いものの、雨は全く降らないという。天気予報で見る台風の中心部分には雲がないことが多いので、雨雲もないということだろう。だから、風だけが強いのだ。  翌朝、台風が去り、世に言う「台風一過」の言葉通り、快晴が広がっていた。  その中で、最初に目を覚ましたのは望で、半身を起こして辺りをキョロキョロと見渡し始める。  寝起きの望は、まだ頭が働いていないのか、目をキョロキョロとさせながら何か考えているようだ。その時、和也も目を覚まし、

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