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囚愛《エリックside》1

日本に来て8年が経った頃、母が亡くなってから執事学校の学長をしている父から2校のリモート講師をして欲しいと頼まれた。 「“ドイツ校と:L.A.(アメリカ)校のリモート講師?”」 「“あぁ、急に数人辞めてしまって。週に2日だけでいいんだ。お願いできないかなエリック?”」 執事学校は2箇所ある。 ドイツ校とL.A.校。 父も私もテリーもドイツ校の出身だ。 私の実家はL.A.校から近かったが、歴史の古いドイツ校に留学していた。 「“しかし消息不明である私が、日本にいることが知られてソフィア様と雅様の存在が世間に広まるのはマズイのですが…”」 父にはソフィア様、雅様、テリーと共に日本に来たことを伝えていた。 「“大丈夫だよ。アバターで対応するし、リッキー・アンバーという偽名で講師登録をするから”」 リッキー・アンバー… エリックのあだ名としてよく使われるリッキー ブラウンの一種であるアンバー色でアンバー   エリック・ブラウン=リッキー・アンバー …なんと単純な偽名なのだろうか。 「“雅様も中学へあがり、お前も暇になるだろうエリック?”」 「“―…そうですね。分かりました。あとで詳細を連絡してください”」 その後、父から講義の詳細が添付されてきた。 時差を考え、日々のルーティンが決まった。 5:00 起床 5:30 トレーニングルームで体力作り 7:00 朝食 7:30 雅様をMY学園へ送っていく 9:00 L.A.校リモート講義 11:00 生徒の採点や課題抽出 16:00 雅様のお迎え 17:00 ドイツ校リモート講義 20:00 夕食 22:00 入浴 23:00 就寝 「へぇ懐かしいなぁドイツ校。真面目な生徒しかいないからなドイツ校は」 リモート講義の詳細を見てテリーが言う。 「ん…?お前は真面目な部類だったかテリー?」 「講師の資格が取得出来れば真面目じゃなくてもいいんだよ」 テリーは執事学校卒業後、ドイツ校の講師として働いていたが「もう教え方忘れた」と言って今回の父の誘いを断っていた。 本音はソフィア様とずっといたいたからだと言っていた。 「そういやアルベルト元気かなぁ。あいつに連絡しないまま俺たち消息不明だしな」 「そうだな。まぁアルはうまくやってるよ。確かドバイの富豪の執事をしていると言っていたのが最後の記憶だな」 執事学校時代はテリー、アルベルトと共に行動していた。 アルはテリーと違って真面目で優しく好青年。 そんな執事学校時代の思い出話に花を咲かせ、生徒達への課題や問題点などをまとめて忙しい日々が続いた。

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