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囚愛Ⅲ《アルベルトside》3

残業が終わり、エリックを地中海料理レストランへ連れ出すことに成功した。 「“2人の帰国は明後日か。エリックはいいの?雅と離れても”」 「“雅様には恋人がいる。こうして1ヶ月共に過ごせただけで幸せだった。また会えたらいいなと思っている”」 雅に恋人なんていないよ。 君の名前が刻まれた指輪を身に付けているんだよ。 「“…彼をまだ愛しているの?”」 「“私は死ぬまで雅様以外を愛すことはないと思う”」 ねぇエリック、そんなこと笑顔で言われたらさ。 僕の決心が揺らいでしまうよ。 知りたくなってしまうよ、君の想いを。 「“どうして彼から離れたの?”」 ずっと気になっていた。 エリックが何も言わずに雅から離れてアメリカにきた理由。 エリックは教えてくれた。 三科雅彦を守れなかったこと。 主を守れなかった自分が生きて幸せになるなんて許されない。 自分が死ぬべきだったのに雅が生きていることに感謝して、一緒になるなんてできない。 全て話してくれた。 あぁ、なんだ―…そういうことか。 それなら君は、幸せになるべきだ。 その時、テリーから空港に着いたと連絡が入った。 「“…そろそろ2件目に行こうか”」 「“どこへ?”」 空港へ向かい、車を停めてロビーを見渡すと雅とエリックが話しをしていた。 僕を見て、どうしてこの場にエリックを連れてきたんだよとでも言わんばかりの睨みをきかせる。 ねぇ、いいの? 本当にエリックを僕に渡しても? やっぱり思い直して、エリックを連れ去ってよ。 ねぇ、雅。 「またね」 「ええ。また会いましょう」 「《さぁエリックもアルベルトも明日仕事でしょ?もう遅いから帰って。搭乗時間までまだだからさ》」 「《そうだね。帰ろうかエリック。雅、またね》」 エリックの腕を掴んで、奪い去ってよ―… だってこれじゃまるで僕が悪者だよ? 二人の気持ちを知ってて何もしないなんて。 「“エリック、おやすみ…何かあったら連絡して”」 「“あぁ。アルも気をつけて”」 きっとまだ二人は空港にいるから、迎えに行こう。 そう思って僕は再び空港へと向かった。 もし空港までいくまでの間、エリックから連絡がきたら―…その時は遠慮なくエリックを僕のものにする。 車を走らせて空港に到着しても、エリックから連絡はこなかった。 じゃあ君は一人で泣いているの? 傷ついているの? 空港のロビーでは、大きな日本語でテリーが雅を怒っていた。 何て言ってるかは分からないけど、なんとなく予想は出来る。 「《もうテリーってば、そんなに大声張り上げたら警察呼ばれるよ?》」 僕は雅の肩を抱きしめながらテリーに注意をした。 「《アル…》」  「《ねぇ雅、エリックは今ひとりで泣いていると思う。僕は彼を愛してるからほっとけない。その涙は僕じゃなくて君にしか止められないんだけど、協力してくれないかな?》」 「《なんなんだよ…二人して…俺は…俺は…》」 雅の目からは涙が溢れていた。 「《俺は―…弱くて…こんな俺…》」 「《雅、エリックは君に守られたいなんて思っていないはずだよ。弱くてもいい》」 「《俺なんかがエリックを幸せに出来るのかな…》」 「《君が隣にいるだけでエリックは幸せだよ。さぁ行こう雅》」 そのまま雅の肩を抱いたまま車まで移動し、エリックの家まで向かった。 深夜2時。 全員無言で、街中のネオンを見ながら移動した。 テリーがスペアキーで玄関を開ける。 僕は、一歩踏み出すのを躊躇している雅の背中をポンッと叩いた。 「《さぁ、勇気を出して。愛する人の涙を止めて、君の涙も止めてもらうんだ》」 そしてその背中に追いた手をグッと押すと、雅が歩き始める。 「“いいのかアルベルト?エリックを自分のものにするチャンスだったのに”」 「“あのさぁ、僕に協力させたのテリーでしょ”」 “空港に到着した。しかし飛行機のチケットはキャンセルしようと思う” 「“こんなメール送ってきて、そんなこと言うの?”」 「“ははは。俺は【思う】って言ったんだ。アルが【今から空港にエリックを連れて行くよ】なんて返事してこなきゃ俺たちは今頃雲の上だったかもなぁ”」 「“なにそれ。まぁ…僕はエリックを譲られたいんじゃなくて、奪いたいんだ。エリックの気持ちごとね”」 「“それは盗賊に頼んでも難しいな”」 「“じゃあ僕が優秀な盗賊に転職しないとね”」 僕はエリックの幸せを願ってるから。 さぁ雅、あとは君次第だよ―… エリックを幸せにするのも、 君が幸せになるのも、 ―…あとは全て君たち次第 【to be continued】

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