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第23話 意識する
人の食べかけをもらうことはあったが、手に持っている状態ものを食べさせてもらったことなんてなかった。
憂太から出るどうぞという圧に負けて食べさせてもらう。
「(これ思ってたよりでかいな…)」
憂太が買ってきたフランクフルトは普通のサイズよりも1.5倍ぐらいある。
「湊、あんまり口大きくないよね」
「ほぉれがでかいだけだろ」
口の中のものを飲み込んですぐに反論する。
「まあジャンボサイズ買ったんだけど。あ、ケチャップついてるよ」
憂太は指で口の横についたケチャップを指で拭き取り、その指をペロッと舐めた。
「口元にケチャップなんて、ベタだね」
「わざとじゃねえ、お前こそ今のなんだよ!ペロって!」
「かわいい彼女が口元にケチャップつけてたから、そうした方が良いのかなって」
さらっと出る憂太のこういった行動には心臓がむずがゆくなる。
「そもそも憂太の食べさせ方が悪いからだろ」
「えーそんなことない、湊が口に入れるのが下手だったんでしょ、大きいんだから一気に咥えずにちゃんと」
「へ、変な言い方するな、ばか」
「え?変?なにが?…うわ、湊もしかして変な妄想してたんじゃ…」
「な…誰が変な妄想なんてするかよ」
「ふーん、いいよ、俺でしても」
「っ!するか、ばか!今は花火見んだよ」
「そうだね、今は花火見よう、今はね」
さっきから憂太の行動一つ一つにドキっとして、どんどん変な態度をとっている気がする。
それどころか、待ち合わせの時からずっと「彼氏になった憂太」を意識してしまって、ちょっとした言葉にも反応してしまう。
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