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第24話 花火
そもそも本当の恋人ではない憂太の行動一つ一つにドキドキしていたら心臓が持たない。
ただの友達なのに、恋人役という設定があるだけでこれだけ見え方が変わるのかと思う。
憂太と出会った当初は、内向的で物静かなタイプなのだろうと勝手に思っていた。
実際は、落ち着いた話し方なだけでコミュニケーションが苦手という訳ではないのだと仲良くなってからわかった。
それに、基本的に優しいのに、たまにSっぽい。
女の子だったらこんなギャップを見せられたら堪らないだろう。
そんなことをかき氷を食べながら考えていると、ヒュ〜という音が聞こえた。
暗い空に明るく細い光が音と共にすばやく昇っていく。
バーンという音を立てて夜空に大きくて明るいきれいな花が咲いた。
「あ、花火始まったね。湊ちゃんと見えてる?」
「見えてる、見えてる」
憂太の声がいつもより高くて、横でワクワクしているのがわかった。
間近で見る花火は、テレビやベランダで見るよりも遥かに大きくて色鮮やかだ。
「(うわあ、迫力すご…ドキドキする…これ恋人と一緒に見れたら幸せそー)」
次々と上がる花火を見ながらふと思う。
「きれい…迫力がすごくてなんかドキドキするね」
さっきまでふざけていた憂太が花火を見上げながらつぶやいた。
「うん、ドキドキする」
憂太も同じようにドキドキしていたなんて思わなかったけど、同じ気持ちだったのは嬉しい。
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