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第25話 花火を見上げる横顔
「なあ、あの花火の形すごくね?ハート?」
気がつくと憂太の肘あたりをゆるく掴みながら話しかけていた。
憂太の腕と自分の腕が重なっていて、このまま腕組めそうなくらいだ。
こんな状態でも憂太は腕を振り払おうとする様子はなくて、楽しそうに花火の話に返事をしている。
「(あぁ、もう、なんか…もっと憂太にくっつきたい…)」
憂太と一緒にいると格好をつける必要もなくてすごい楽だし、ゲームの話やマンガの話が合うから本当に楽しい。
でも、友達をことを想って泣いている姿も、花火大会のために気合いを入れたかっこいい姿も、ちょっといじわるな姿も全部全部だれかに見せたくない。
むしろ憂太の魅力は自分だけが独り占めしたい。
これはもう友達に向ける感情ではない。
「(だめだ、俺…もう憂太のこと好きなのかもしれない…)」
もしも、憂太は俺がこんな気持ちを持っていると知ったらどう思うのだろう。
拒否されて、この擬似恋人は終わるのかなと急に現実的な問題が頭をよぎる。
一緒に来た花火大会は本当に楽しくて、ずっと顔の筋肉は緩みっぱなしだ。
だけど、花火を見上げて楽しそうな憂太の横顔を見ると、楽しいの中にほんの少し切なさも混ざった。
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