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第49話 大学逆デビュー/憂太の過去(5)

「……僕に対して、何か嫌がらせをしてやろうってつもりは無かったんだと思う」 「え?じゃ、なんで?」 「たぶん、麻生さんって彼氏がいるっていうステータスがほしい人だったんだよね。だから、僕はもしもの時の保険だったんじゃないかな…」 憂太は自分を落ち着かせるように、はあ、とため息をつく。 「僕と別れた時に、僕を理由に使って彼氏と復縁したんだと思う」 誰かとの別れを、次の彼氏と仲が深まるきっかけするなんて、相手にも失礼すぎだろと思った。 「僕ね、高校の3年間で、女の子から一目惚れしたって告白される機会が結構あってさ。モテてたんだと思う…」 元々整った顔立ちをしているから、ちゃんとすればモテそうだなと思っていたが、本当にだったなんて笑ってしまう。 「っふは…自分でいうやつがいるかよ。それに、いつも度の強い眼鏡つけて、モサモサの髪型してんのに?」 「うん、高校までは、コンタクトだったし、髪型は姉ちゃんのおすすめにしてたの」 「へ、へえー」 それなら、大学逆デビューしてるじゃんと思った。 少し和んだように思えたこの雰囲気で、憂太も釣られて少しくらい笑うかと思ってたのに、俺の肩に頭を乗せて俯いたままだった。 「でも、告白を断るたびに泣かせたり、怒らせたりしちゃってて…女の子をよく泣かす奴なんて悪い噂も流れてた……性格もよく知らないのに好きになるなんて、正気じゃないよね」 正気じゃない…たしかに、外見だけで好意を向けられ、応えなければ悪く言う人のことなんて信頼したくない。 「…僕、180cm以上あるじゃん。学校でも大きい方だったし、背が高くて、告白される機会が人よりも少し多いっていう所が、麻生さんにとって彼氏っていうアクセサリーにするのにちょうど良かったんだと思う…」 憂太の話を聞いていると、大学に入ってから女の子と話している所を見なかったことや、いつも髪もモサっとして度の強い眼鏡をかけて冴えない見た目をしていた理由に納得した。

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