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第51話 告白と告白

高校生の頃の憂太に彼女がいたことを知った時は、勝手に涙が溢れて止められなかった。 憂太とのこれまでの思い出も全部、作り物だったのかと疑ったくらいにはショックだったと思う。 でも、本当は言わなかったのではなくて、言えなかっただけで、憂太はこれまでも今も心優しくて、他人のことを思いやれる、かっこいい男だった。 「俺、憂太のこと何も分かってなかった。なのに…傷つけるようなことばっか言ってごめん」 「ううん、僕がちゃんと話すべきだった。恋人ごっこなんて言って続いてる湊との関係が終わってしまうかもしれないと思うと怖くて…」 それは俺も同じだった。 今の憂太との関係は居心地が良かったけど、俺は恋人ごっこは終わりにして、本物の恋人になりたいと思っていた。 「俺さ…憂太のこと、好きなんだ」 泣いて目元が赤くなった憂太が、ポカンとしている。 「え?す、き?友達として…ってこと?」 「ううん、恋愛としての好き」 告白はもっとスマートに、かっこよく、もっと憂太のことを知ってからしようと思っていたのに、勢いで言ってしまった。 一生懸命、つらい過去を話してくれた憂太に感化されたのかもしれない。 勢いで告白したものの、落ち着かなくなってきて、憂太が出してくれていたお茶に手を伸ばす。 冷蔵庫から出してすぐのときは冷たかったはずのお茶は、怒ったり、泣いたりしている間にぬるくなっていた。 「……でも、俺も憂太に話さないといけないことがある」 今度は俺が誠実になる番だ。 「俺も…ずっと憂太に嘘ついてた」 「嘘…って?」 脳内で何度も打ち明ける時のシュミレーションをしたのに言うのが怖くなる。 「えっと…お、俺、本当は彼女ができたことないんだよね。…みんなには恋愛経験あるってことにしてた…」 どんな表情をしているのか怖くて、憂太の顔が見られない。

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